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YOSHIKIカード

2010.08.17

先日、日産スタジアムで行なわれたⅩ-JAPANのライブを観に行って参りました。
といっても、実際に行ったのは私ではなく、妻と娘の2人です。
残念ながら私の役割はチケットの手配まで。
本当は私もぜひ足を運びたかったのですが所要が重なり、一昨年の味の素スタジアム、昨年の東京ドームに続き、今年も私は寂しく留守番と相成りました。
そして私のおかげで(!)ステージ前のアリーナの良席を手に入れた2人は、それはそれは大興奮の時間を過ごしたらしく、興奮覚めやらぬまま、会場で手に入れたツアーグッズをごっそり抱えて先日帰って参りました。

今回アリーナのかなり前の優良席を入手できたのには、それなりの訳と苦労がありました。

それはさかのぼること数ヶ月前のある日、娘が私に「お父さん、VISAカードって持ってる?」
はい、持ってます。
「それをこのVISAカードに変えてほしいんだけど」
そう言って私の目の前に出されたPCの画面には「UNDERGROUND KINGDAM VISAカード」の文字。
何のこっちゃ?
娘が言うには実はこれ、Ⅹ-JAPAN のリーダー、YOSHIKI(ヨシキ)と提携したVISAカードらしいのです。

話を聞けば、このたび発行されたこのカード、入会すればX-JAPANのコンサートの優先予約が出来るのだとか。
そうか、そういう事か。
それならば、私もライブ大好きなので少しでも良い席で観たいのはよく分かる、よろしい、好奇心旺盛なのも手伝って、ぜひこのカードを取得してみようと即決です。

かくして私は翌日、早速この(通称)YOSHIKI・VISAを申し込み、と同時にこれまで持っていた別のVISAカードを解約しました。
そうこうして待つこと約1週間、ついにそのカードが自宅に届きました。

封を開いてそそくさと中身を取り出すと、カードの表側にはYOSHIKIの見目うるわしい写真がドンとプリントされています。
ほうほう、ファンの女性はこれだけでまずイチコロですな。
そして私は「これは飲み屋でのネタに使える」とワクワク。

続いて、同封されているパンフレットを取り出してよく読むと、そこにはカードの使用ポイント(1ポイント1,000円)に応じた数々の特典が・・・。
これが何ともスゴい。
書き写してみますね。

600ポイント YOSHIKIオリジナルTシャツ
3000ポイント YOSHIKI直筆サイン入りドラムスティック
6000ポイント YOSHIKIジュエリー(ボックスへ直筆サイン入り)
10000ポイント YOSHUKIと2ショット撮影(写真へYOSHIKI直筆サイン入り)
12000ポイント YOSHIKIと一緒にスタジオで未発表曲を視聴
15000ポイント YOSHUKIがスタジオで生演奏をして、その内容を録音したCDに直筆サインを入れてプレゼント

はっきり言ってファンにとっては垂涎ものです。
それにしても大企業というのは、こんなカードを考え付くアイディアも凄いけれど、そのアイディアをアーティストと提携していとも簡単に実現させてしまう力を持っている、その凄さをまざまざと感じました。
それにしても、と私は考えました。
最後の特典を手に入れるには・・・カードで家でも買うか。

さて、そして肝心のライブのチケット優先予約はというと・・・どこにも書いてありません。
VISAカードのホームページを見ても、改めてご案内差し上げます、という内容がサラリと載っているだけ。
おいおい、大丈夫かいな。

しかしその心配も杞憂に終わりました。
数日後、娘から見せられたPCのX-JAPANのホームページには、今回のこのカード入会者に対する最優先予約の案内が!

そして指折り数えて待った発売日当日。
発売開始時刻の午前0時ちょうどに、私はいつもながら酔っ払ってベロベロになっている頭をフル回転させて、チケット申し込みの入力を無事完了しました(酔った頭で入力ミスがあってはならじと私は指示をしただけ、実際入力したのは娘です)。
それから数日。
PCのメールに「当選しました」の文字が躍りました!

ただし文面を読んでいくと、チケットが発送されるのはそれから更に待つこと1ヵ月後。
コンサートの10日前なんですよね。

今回わざわざ優先予約の特典欲しさに入会したVISAカード。
VISAよ、そしてコンサート事務局よ、そんな私の思いに報いるためにも、せめてアリーナ席、でもアリーナ席でも後方はステージが観えないというから、欲を言えばアリーナ席の前方をぜひとも送ってくれたまえ!
そして8月上旬のある日、その思いは叶えられました。

娘からの電話で「チケットが届いたから開けていい?」と言うのを制し、「いやいや、お父さんが取ったのだからお父さんが開封します」とチケットを事務所まで持ってこさせ、ドキドキしながら封筒を開きました。
目の前のパソコンにはあらかじめ日産スタジアムの座席表が出してあります。

そしてソロソロとチケットを取り出して、席番を確認、PCの座席表と照らし合わせると・・・おおっ、思いっきり前じゃん!
感動!
ステージに向かってほぼド真ん中の、前から約10数列目。
それまでの苦労が一気に報われた思いでした。

VISAよ、コンサート事務局よ、ありがとう。
今回は素直に感謝!です。
次のX-JAPANのライブでも、ぜこのチケット優先予約が活かされる事を願っています。

さて、最初の特典のオリジナルTシャツを手に入れるためにカードでも使うか。
しかしそれには一体いつまでかかるのやら・・・。

父と暮らせば

2010.08.12

先日、上田市内のライブハウス「troubadoul the LOFT」(トラバドゥール・ザ・ロフト)のオーナーから、お芝居のお誘いがありました。

お芝居なんて一体どれくらいぶりでしょう?
たぶん学生時代に芝居好きの先輩に連れられて、新宿の紀伊国屋ホールでつかこうへい劇団を観て以来かもしれません。
かくの如くお芝居とはまったく縁のない私ですが、こういうのは誘われた時こそがチャンスと思って、意を決して行って参りました。

そのお芝居は、井上ひさし原作の戯曲「父と暮らせば」。
しかも今回は、ひとり芝居です。

あとで知ったのですが、この「父と暮らせば」、戯曲としては有名な作品なんですね。
小松座をはじめとしてこれまで数々の劇団や、あるいは二人芝居やひとり芝居で数え切れないほど演じられてきて、数年前には宮沢りえ・原田芳雄・浅野忠信で映画化もされています。

舞台は終戦から三年後の広島。
図書館に勤務する主人公の美津江は、原爆投下で親しい人を失い、自分ひとり生き残った罪悪感を背負いながら父竹造とふたりで暮らしています。
そんな中、図書館に通うひとりの青年から好意を寄せられた美津江は、その罪悪感ゆえに彼との一歩を踏み出せず、そんな彼女を竹造は励まし、そして青年との交際を後押しします。
ある日青年から、故郷の岩手へ一緒に行こうと誘われた美津江を、それは結婚の申し込みだからぜひ行くべきだと、竹造は必死に説得します。
そんな父の姿に美津江は次第に心を動かされ、そして最後に大きなドンデン返しが・・・。

このお芝居を観たのは奇しくも8月6日、広島に原爆が投下された日でした。
ライブハウスのオーナーはもちろんそれを意図したのでしょうけれど、でもそんな思いもあいまって、この作品は私の予想をはるかに越えた大きな感動をもたらしてくれたのでした。

ちなみにこのライブハウスはキャパ50名ほどの本当に小さな「小屋」ですが、いつも意表を突いたメニューを提供してくれます。
ある時は「太陽にほえろ」テーマ曲をはじめ数々の名曲を作り出した井上堯之、ある時は一世を風靡したパンクバンド「アナーキー」のボーカル仲野茂、またある時は日本のフュージョン界を牽引するバンド「PRISM」(4/18の当ブログ登場)・・・。
足を運ぶたびにステージに釘付けになり、そしてそのアーティストの演奏に心奪われ歓声を上げています。

そして今回のひとり芝居。
このライブハウスが初めてお芝居を呼ぶからにはきっと何かあるはずだろうと、そんな期待を込めて当日足を運びました。

開演前、ささやかな出来事がありました。
私はこのライブハウスでは定位置の、数席しかないカウンターに腰掛けて、生ビールをちびちび飲みながら開演を待っていました。
そうしたらひとりの男性が、私と壁の間の窮屈な場所に座ったんですね。

椅子をずらそうにも、反対側は開演までドリンクを販売するスペースになっていて移動できません。
そこで私は意を決してその男性に振り向き、「狭くて申し訳ありません。でもお芝居が始まったら椅子を移動させますので」とお詫びを述べたところ、その男性は微笑んで「いいんです。気になさらないで下さい」とおっしゃって下さったので、お言葉に甘えてそのまま腰を据えていました。

さて、いよいよ開演。
場内の照明が落とされ、いよいよ俳優さんが登場。
と思ったら、隣にいたその男性がひょいと椅子から降りて、トコトコとステージに向かっていったのです。
そう、その方こそ今日のお芝居を演じる佐々木梅治さん、その方でした。

舞台の上には椅子がひとつと小さな置物の電灯がひとつ、たったそれだけです。
そこに手帳を手にした佐々木梅冶さんがステージに上がり、客席に語り掛けます。
自己紹介と簡単な挨拶があったあと、小さな手帳を手にして、「それでは始めます」。

手帳と思ったのは台本でした。
佐々木さんは椅子に座ったまま、最初はそれを朗読する形でお芝居は始まりました。

登場人物は主人公の美津江と父親の竹造、たった2人です。
そして2人の会話が始まると、佐々木さんはおもむろに椅子から立ち上がり、感情たっぷりに台詞を語りつつ、全身を躍動させて父と娘を演じます。
そして一転して直立不動になって、台本のページをめくりながら朗読する、そんな静と動の繰り返しです。

客席一同その迫力に圧倒されながら、いつの間にか皆が我を忘れてステージに釘付けになっています。

あっという間の1時間20分、佐々木梅冶さんは最後の1ページを語り終えると台本を静かにパタンと閉じ、それと同時にステージの照明が落とされ真っ暗となり、その瞬間場内は割れんばかりの拍手喝采となりました。

拍手が止むのを待って再び照明が灯され、ステージの上で佐々木さんがこの作品に賭ける思いを語り始めました。
既に上演回数が百数十回を越えている事、いつか井上ひさしさんにこのお芝居を観て頂きたいと思っていながらついにその思いが遂げられなかった事、しかしある日突然井上ひさしさんご本人から花束が届いて驚愕した事、そして今も台本にはその時撮影した花束と自分の写真をお守りとして入れてい事・・・。
その言葉ひとつひとつに、この「父と暮らせば」に込める佐々木さんの情熱と愛情とが溢れている気がしました。

ちなみにこの佐々木梅冶さん、声優としてもご活躍で、我々が知る数多くのキャラクターの声を演じているんですね。
確かに魅惑的な素晴らしい声でした。

思い切って一歩を踏み出したおかげで、またひとつ新しい世界に触れる事ができた1日でした。

これ、飲んだことあります!

2010.08.05

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週刊誌「モーニング」連載中の「神の雫」。
ワインの世界を分かり易く描いた作品として連載開始直後から人気を博し、昨年はテレビドラマ化もされ、その人気は日本だけでなくヨーロッパなど海外にも及んで、今なお好評連載中です。

高名なワイン評論家だった神崎豊多香を父に持つ主人公の神埼雫、そしてカリスマワイン評論家として君臨する遠峯一青。
このふたりが、神崎豊多香が生前に残したワインコレクションを巡って、遺言に書かれた12本の謎の極上ワイン(=「十二の使徒」)の正体を、世界中を駆け回りながら1本1本当てていくというのが大まかなあらすじです。

「第一の使徒」から始まり、それぞれのワインの正体が明かされると同時に、同じワインが市場で品切れを起こすという社会現象をも巻き起こしているこの作品、現在はシャンパンをテーマとした「第八の使徒」の正体がこのたび明かされたばかりです。

その「第八の使徒」のシャンパンの正体というのが、ズバリ、「ジャック・セロス・キュベ・エクスキーズ NV(ノンヴィンテージ)」。
私これ、しばらく前に飲んだ事があります!

ジャック・セロスは、今や押しも押されぬシャンパン界の寵児で、そのうなぎ昇りの人気と共に世界中でオファーが激増、そして値段も高騰の一途です。
このジャック・セロスのシャンパンは全部で6種類あり、中でもこの「キュベ・エクスキーズ」は平均年間生産量わずか150ケース!と、その希少性でも群を抜いています。

さて、私がそんな極上の1本を飲んだのは、このブログでもたびたび登場する上田市内のレストランバー「リビアーモ」。
とはいっても注文したのは私ではなく、カウンターで席を並べた隣のお客様なのでした。

思い起こせば数ヶ月前、この日はカウンターでついつい飲み過ぎて、気が付いたら時刻は既に午前2時。
さすがにもう帰ろうと腰を上げようとしたところに、私とは旧知のそのお客様が入店されました。
しばらくしてその方がシャンパンを所望され、それでは、という事でオーナーから提示されたのがこの「ジャック・セロス・キュベ・エクスキーズ」でした。

このシャンパンがお店のストックとして存在する事自体驚きなのですが、更に驚く事に、そのお客様はその申し出を快諾。
かくして1本の「ジャック・セロス」が世に解き放たれました。

そして嬉しい事に、せっかくだからと私にもおすそ分けの1杯が回ってきて、ただただ感涙に咽ぶ私。
シャンパングラスの中で輝く、その泡立つ黄金色の液体をいとおしむ様に眺めつつ、時間を掛けてじっくりと、その珠玉の一杯を最後の一滴まで飲み干しました。

宝石のような泡立ち、そして口に含むとねっとりと舌を包み込む、優しく繊細かつ柔らかな味わい。
これがまさにあの「ジャック・セロス」なのかと、酔った頭を瞬時に冷静モードに切り替えて、このおいしさを自分の記憶に叩き込もうと懸命でした。

そして先週の木曜日。
「モーニング」を開いて、「神の雫」の「第八の使徒」として件のシャンパンが載っているのを見て、感動とともに私はすぐさま「リビアーモ」のオーナーに連絡を入れたのでした。

こんな酒屋もある。

2010.07.28

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今日は一軒の酒屋さんをご紹介します。
タイトル通り「こんな酒屋もある」。
神奈川県横須賀市にある「日本酒専門店 Sake 芯」がそのお店です。

こちらのお店、実は店舗がありません。
店主の松尾さんのご自宅の一室、そこがそのまま「試飲室」であり、そして「お酒売り場」なのです。

先日初めてこちらのお店を訪問しました。
京浜急行の横須賀中央駅で下車、坂道が続く閑静な住宅街を歩くこと約10分、左右を見渡しながら注意して歩いていると、普通の家の玄関の脇にひっそりと掲げられた「Sake 芯」の看板を見つけました。
ここに来ようと思わなければまず見つけられない、そんな立地です。
ようやく辿り着いた安堵感と共にベルを鳴らすと、店主の松尾伸二さんが出ていらっしゃいました。

松尾さんに案内されるままご自宅の2階に上がり、すぐ脇の一室に入ると、そこは普通の和室。
1人掛けの椅子と、机を挟んで2人掛けのソファがすぐに目に入ります。
しかしこの和室こそが、松尾さんがお客様をお迎えし、納得のゆくまで試飲と対話を繰り返した上でお気に入りの1本を選んで頂く、いわば接客の場なのです。

松尾さんがこのお店をオープンさせたのは今年の1月。
それまで長年の間、大の日本酒愛好家だった松尾さんは、どうしてもお酒を扱う仕事に携わりたいという思いから、昨年ついに脱サラして酒販免許を取得(この行動力!すごい事です)。
そしてその際に選ばれたのが、商品陳列に頼らず、あくまでも対話と試飲とを最優先したこのスタイルだったのです。

しばし酒談義に花が咲いたあと、それではせっかくだからと松尾さんはお盆に乗ったいくつもの利き猪口と、そして部屋の片隅の冷蔵庫から試飲用のお酒を何本も出して下さいました。
恐縮しながらも、松尾さんが選ばれた極上の1本を次々と堪能。
どのお酒も個性に溢れ、そして松尾さんの愛情に溢れている事がよく分かります。
これらのお酒を松尾さんと語りながら味わっているうちに、気が付けばいつの間にか「Sake 芯」ワールドにどっぷりと浸かっている自分に気が付いたのでした。

ちなみに部屋の片隅の冷蔵庫はあくまでも試飲用のお酒を冷やしておくためのもので、販売用はご自宅の隣にプレハブ冷蔵庫がデン!と鎮座しております。
駐車場の奥に置かれたこのプレハブ冷蔵庫を見た時は正直驚きました。
ちなみにこちらは、生酒が多いために常時-5℃に設定されているそうです。

楽しいひとときはあっという間に過ぎてしまいます。
そろそろお暇しようと席を立ったところ、思いも掛けない嬉しいお申し出を頂きました。
私が横須賀出身のⅩ-JAPANのHIDEの大ファンで、以前横須賀市内にあったhide Musieumにも足を運んだ話を覚えていて下さって、海岸沿いにあったそのミュージアム跡地まで車で案内して下さったのです。
実のところ、せっかく横須賀まで来たのだから、帰りにこの場所に立ち寄ってみようと思っていたものですから、あまりにもタイミングの良いお誘いに感激する事しきり。
車を降り立ち、見渡した跡地は当時の面影は全くなく、それでもここには確かにあのhide musieumがあったのだという感慨で、しばらくの間胸が熱くなったのでした。

写真:店主の松尾伸二さんと「試飲室」兼「お酒売り場」

こんな晩もある。

2010.07.20

相変わらず飲み続ける毎日です。

家に居れば居たで、いつもの習慣で他の蔵元のお酒をずらりと並べて片っ端から飲み倒し(勉強にもなるし何より楽しいのです)、外に出たら出たで1軒では飽き足らず、余力があればお気に入りの居酒屋やバーをハシゴする繰り返しです(ただし財布の余裕もあれば、の話ですけど)。
外で飲んだ時は、この辺で切り上げようと思っていても、結局はお酒や仲間の魅力に負けてしまい、気が付いたら日付が変わっているという事もしばしばです。

先日もこんな事がありました。

その日は月に一度の定例の飲み会で、男ばかり11名、いつもの居酒屋でどんちゃん騒ぎで盛り上がり、重い腰を上げたのが午後9時過ぎでした。
私もかなり酩酊してはいましたが、その足で以前このブログにも登場した近くの割烹「海鮮処・祭」へ。
ただし今日は飲むためではなく、近々開く宴会の予約をするために出向いたのでした。

ここ連日飲み会が続いた事もあり、さすがに今日はすぐに帰ろうと決意をして、お店のご主人と女将に要件だけを告げお店をあとにしようとしたところ、思わぬ話題で3人で花が咲いて、しばらく立ったまま歓談。
そうこうしているうちに「一杯飲んでいきなよ!」というご主人からの誘惑に負けて、結局はカウンターに座って飲み始める事と相成りました。

ちょうど宴会のお客様も引けたあとで、ご主人が調理して下さる旬の食材を肴に舌鼓を打ちながらグイグイと杯を重ね、うしろ髪を引かれながら席を立ったのは午後11時過ぎでした。

無事帰宅し、一風呂浴びて寝ようとしたところ・・・明日の早朝までに準備しなければならない買い物にハッと思い付いたのが運のツキ。
いつもならば明朝買い物に出向けばいいと冷静な判断が下せるのですが、そこは酔っ払いの勢いというもの。
気が付けば24時間営業のスーパーに向けて、再度自転車を漕ぎ出しておりました。

そのスーパーまでは自転車で約20分、決して短かい道のりではありません。
しかも、今あとにしたばかりの上田の夜の繁華街を再度突っ切らなければならないのです。

こういう時は偶然が重なります。
こちらも先月のブログに登場した「レストランバー・リビアーモ」のオーナーが、ちょうどお客様のお見送りで外に出てきたところにバッタリ遭遇。
さすがにその時は「ちょっと買い物があって」と事情を説明して、そのまま買い物に向かいました。

しかし現金なもので、いざ買い物が済んで安心すると、先ほど彼と会ったのも縁とばかりに、気が付けば買い物袋を提げたまま「リビアーモ」のドアを開けておりました。
「今日は一杯だけで帰るから」そう告げて、「レッドアイ」(ビール&トマトジュース)をキューっと空け、それではお勘定と思った矢先・・・ここでまた出来事が。

先程からカウンターの2席向こうでひとりで飲んでいた常連の女性が、スタッフの女性と囁いているのが聞こえてきます。
「あちらにいるのは和田さん?」
ギクリとしながら、さり気なくその女性の顔を窺ったところ・・・見覚えがありません。
誰だろうと思案していると、そのスタッフの女性が「和田さんの高校時代の部活の後輩との事です」と伝えてくれました。
高校卒業以来15年以上ぶりの再会、しかも女性とくれば、それは分からなくても仕方ない事と自分自身を納得させます。

そして彼女と挨拶を交わしたのですが、彼女は私を試しているのか、笑うだけで自分の名前を名乗ってくれないんですね。
後輩とだけ告げられて、1年下か2年下の後輩なのかも分からない。
それでも女性の名前を間違ること許されまじと、私は酔った頭をフル回転させて、当時の後輩の名前をひとりひとり記憶の彼方から呼び起こします。

表面上は平静を装ってはいても頭の中はフルスロットルです。
しかし酔いが頭の回転を妨げます。
そしてようやくひとりの後輩の名前に絞り込んで、勇気を出して恐る恐る「あなたは××さん?」。
間違ってました・・・爆。

いくつかのヒントでようやく彼女の正体(?)が分かってみると、紛う方無き高校時代の面影を残すNさんでした。
名前を間違った後ろめたさと、しかし本当に久々に会話を交わす楽しさとで、帰るはずだった私はまたカクテルを注文し、しっかりと腰を落ち着けていたのでした。

そんなこんなで時刻は深夜0時過ぎ。
帰途に付く準備をし始めたNさんを見て、今度こそ私もお暇(いとま)をと思った矢先、お店のドアが開いて入ってきたのは、以前から顔は知っていたもののこのお店で話をして俄然仲良くなったFさん。
「和田さん、隣いいっすか?」と、私とその後輩の間に座り、彼の楽しいトークが一気に炸裂します。
私はといえばいつの間にかスコッチをストレートで何杯も煽り、後輩のNさんをお見送りしたあともFさんと大層盛り上がって、家路に付いたのは午前2時半のこと。

ちなみに翌朝、というかこの朝の起床予定は4時半。
それでも帰宅してきっちり風呂に入って(健康上あまりよくないですよね)、居間のソファの上で束の間の睡眠に入ったのでした。

たくさんの偶然とそして出会いとに囲まれた、こんな晩もあります。

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