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アルコール発酵の原理

2012.02.25

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写真は本日の「登水(とすい)美山錦」仕込み2日目のもろみの状貌(「ツラ」ともいいます)です。

まだ溶け切っていないお米の中で、泡がプクプクと立っているのが分かりますか?
これはアルコール発酵がしっかりと始まった証拠です。

今、このタンクの中では「糖化」と「発酵」というふたつの変化が同時に起こっています。

①糖化:お米のデンプン→<麹菌が作った酵素が分解>→ブドウ糖

②発酵:ブドウ糖→<酵母が分解>→アルコール・炭酸ガス

つまり写真の泡は、アルコール発酵により、酵母がブドウ糖をアルコールと炭酸ガスに分解した、その炭酸ガスの泡なのです。

このように、「糖化」と「発酵」が同時に行われる形式を「並行複発酵」と呼び、これは日本酒製造の大きな特徴のひとつです。

同じ醸造酒でも、ワインは原料のブドウに最初から糖分が含まれていますので「糖化」は必要なく「発酵」のみが行われます(「単発酵」と呼びます)。
またビールは原料は麦ですので日本酒と同じく「糖化」と「発酵」の両方が行われますが、違うのは「糖化」が終了したあとに「発酵」をさせるという2段階を踏むことです(「単行複発酵」と呼びます)。

写真のもろみもこれから30日以上にわたって厳しい温度管理のもとで、おいしいお酒になるための「糖化」と「発酵」とがバランスよく進行していくのです。

登水(とすい)途中経過

2012.02.21

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まずはご報告です。
本年度分の「純米しぼりたて生原酒」はおかげ様で完売致しました。
お買い求め頂いた皆様に、改めて心より御礼申し上げます。

そして「登水」の仕込みの途中経過です。
「登水・山田錦純米」はもろみで20日目を迎えています(写真上)。
また「登水・美山錦純米吟醸」は本日「添(そえ)仕込み」です(写真下は昨日洗米した「添仕込み用掛米」)。
まだまだ先は長いです。

YMOにぞっこん

2012.02.14

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何を隠そう、私は小さい頃から熱狂的なYMOファンです。
先日片付けをしていたら、段ボールの片隅からYMOグッズが2点出てきました(写真)。

上の写真はYMOが1983年に「散開」(「解散」ではない)した際、CDのプロモで付いてきたバッジです。
この時の散開ライブは、個人的には後世のテクノ史に名を残す名ライブだと今も思っています。
「散開」ツアーの最終日にあたる日本武道館公演は、何と全員が招待ということで、浪人の身でありながら100枚を超す応募ハガキを発送したのを今でも覚えています(ハズれましたが・・・涙)。

そして下の写真はYMO「散開」から10年後、突如として「再生」(再結成)をした際のキャップです。
当時の「ぴあ」に「YMO再生」のライブ広告を見つけた時はあまりの衝撃でしばし言葉が出ませんでした。
この時の東京ドーム公演はアリーナ前方の良席で見ることができたのですが、相変わらず客に媚びる事のない選曲と演奏に往年のYMOらしさを感じ入りながら、3人のサウンドに心を奪われ続けた1時間半でした。

話はそれますが、以前フジテレビで「カルトQ」というクイズ番組がありました。
その日のテーマに沿った極めてカルトな問題を、これまたカルトな一般解答者が答えていくというものですが、ある日解答者募集のテーマのひとつに「YMO」がありました。
すぐさま応募のハガキを出した私に突然フジテレビから電話が掛かってきたのは、とある平日のグデングデンに酔って帰った夜11時近くでした。

「フジテレビですが、カルトQの予選を行いますので明日フジテレビまで来れますか?」
「は?明日ですか・・・」
酔った頭をフル回転して考えましたが、あまりにも急でどう考えても無理です。
悔しさを押し殺して丁重にお断りをしたのですが、なぜよりによっていきなり明日・・・?
しばらく考えて分かりました。
つまり予習をさせないためなんですね。

出場の機会を逃したあまりの悔しさで、放映の際は私も解答者のつもりで一緒になって答えていたのですが、確か90点だった気が・・・まだまだ勉強不足ですね(それでもこの点数ならマニア度としては高いと密かに自負しておりますが)。
ちなみにこの時の優勝は、元電気グループの砂原良徳がさらっていきました。

そんな訳でYMO、私の中ではまだまだ現役です。
今日も車のカーオーディオではアルバム「BGM」と「テクノデリック」(「京城音楽」のカッコよさといったら)、そして散開ライブアルバム「AFTER SERVICE」が鳴り響いているのでした。

カクテルの愉楽

2012.02.07

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写真上:三軒茶屋「West End」のブロンクステラス
写真下:上田市「Dejavu」のドライマティーニ


造り酒屋なので日本酒ばかり飲んでいると思われがちですが、基本的にお酒はなんでも飲みます。
とはいっても食事中はほとんど日本酒ですけど。
でも外で飲んだ時、アフターディナーでその日の締めはカクテルでなんていうのはまた格別です。

バーは地元上田でも出張先でも、行くのは決まったお店です。
お気に入りがいくつかあって、その日の気分で行くお店を決めています。

私に初めてカクテルのおいしさを教えてくれたのは、以前渋谷にあり今は三軒茶屋に移転している「West End(ウエストエンド)」。
時間が空くとボトルを1本1本ピカピカに磨き上げているオーナーの前田さんはじめスタッフの姿を見て、お酒への愛情がひしと伝わってきました。
以後足繁く通う一軒です。

食後にもう少しワインを飲みたい時は銀座と渋谷にある「Chinois(シノワ)」。
オーダーするのはフルボディの赤ワインかヴインテージポートが多いですが、このお店手作りのリモンチェッロもたまらないおいしさです。
オーナーの後藤さんは私と同い年で、お目に掛かってお話しするたびに、私も頑張らなければという元気を頂きます。
ここはレストラン・バーなので、ゆっくり食事をというシチュエーションにも最適です。

地元上田で今一番頻繁に通うのは「Dejave(デジャブ)」。
小さな店内に所狭しと置かれた酒瓶と、オーナーの藤極さんとの洒脱な会話とを楽しみながら傾けるカクテルグラスは美味しさも倍増です。

この「Dejave」で修行をし、数百メートル先にお店を開いて独立した、とっても素敵な女性オーナーがバーテンダーを勤める「Chat Noir(シャノワール)」もお勧めです。
何といっても彼女の爽やかで明るい人間性が、居心地のよさをより一層高めてくれます。

そしてもう一軒、このブログで何度も登場の、1年前に上田から長野駅前に移転した「Restaurant Bar Libiamo(リビアーモ)」。
ここはお酒はもちろんですが、オーナーソムリエの坂田氏の作る料理がこれまた抜群に旨い。
上田にあった頃ほどは頻繁に通えず地団太を踏んでおりますが、でもここに行きたいばかりに新幹線に飛び乗ることもあるくらい、距離は離れていても心の距離は相変わらず近いお気に入りのお店です。

「登水(とすい)」仕込み開始

2012.01.31

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「登水(とすい)」の途中経過です。
「山田錦純米(精米歩合59%)」は本日「仲仕込み」を終えました(写真)。

「仲仕込み」って何でしょう?

日本酒の仕込みの大きな特徴のひとつに「段仕込み」があります。
これは、日本酒のもろみを一度に満量にせずに、「添仕込み」「仲仕込み」「留仕込み」の三段階にわたって少しずつ量を増やしていく方法です。

日本酒のもろみのタンクは開放状態で空気に触れているため、常に空気中の雑菌に汚染される危険性にさらされています。
それを防ぐために、優良酵母の絶対数を増やすことを目的として、「段仕込み法」が取られます。

1日目:添仕込み
2日目:踊り(仕込みを休んで酵母の増殖を促します。)
3日目:仲仕込み
4日目:留仕込み

こうする事で極端にもろみが薄まらず、酵母の増殖によって常に「酵母優位」の状態が保たれ、健全なもろみが育つのです。

改めて写真を見て頂くと、「仲仕込み」なので、タンクの半分くらいしかもろみがないのが分かりますよね。
明日の「留仕込み」でこれが満量になります。

ちなみに「登水」のもう一種類、「美山錦純米吟醸(精米歩合49%)」は2月上旬から米洗いが始まります。
どちらもまだまだ先は長いです。

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