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とんかつに燗

2015.02.13

福田和也が好きです。

慶応義塾大学環境情報科教授にして文芸評論家。
彼の膨大な知識を駆使しての評論や文学批評や対談は、読むたびに己の知的好奇心を喚起されます。

初めて氏と会ったのは今から12年前。
上田市で開催されたとある式典で講演をされた氏に、そのあとの懇親会の場で勇気を出して話し掛けたのがきっかけでした。

憧れの福田氏にお近づきになるにはどんな話題がいいのだろうと散々悩んだあげく「戦後生まれの作家では中上健次が大好きなんです」といきなり話し始めた私に、以外にも氏はすぐに耳を傾けてくれて、それから会話を交わした数分間の感激といったら。

しかも嬉しい誤算は続いて、何とそのあと、二次会を兼ねた食事のご相伴に預かったのです。

福田氏がとんかつ好きなのはよく知っていましたが、その時行ったのはやはり上田を代表するとんかつ専門店。
とんかつ、メンチカツ・・・次々にたいらげていくその健啖家ぶりは健在で、しかも翌日も同じお店に行ったというからビックリ。

そんな福田和也が「週刊SPA」で連載中の、坪内祐三との対談「これでいいのだ」をまとめた単行本「羊頭狗肉」。

「週刊SPA」は、このコーナーと佐藤優「インテリジェンス人生相談」そしてマンガ「新ナニワ金融道」を読むためだけに買っていると言っても過言ではありません。

そんな「羊頭狗肉」での福田和也の発言。

「とんかつには熱燗でしょう」

我が意を得たり!
同感です!

とんかつに熱燗?
が、これが合うんです。

熱さと熱さ、旨みと旨み、とんかつと熱燗とが絡み合って次のひと口へと誘(いざな)います。

個人的には、最初にビールを飲まずにいきなり熱燗のほうがもっといい。
しかもとんかつはソースでなく塩です。

日頃から料理にも一過言ある福田和也、このひとことでますます好きになりました。

アッコちゃん

2015.02.06

伊勢丹の公式PV「IESTAN-TAN-TAN」が素敵です。

「伊勢丹従業員500人が踊る」とのことですが、楽しくて、レビューにもある通りまさに「デパートに行きたくなる」思い。

最初は音声なしで映像だけで見ていたら途中でいきなり大好きな矢野顕子が出てきて「何で?!」って思いましたけど、音声入りで聴いたら納得できました。
そう、BGM担当は矢野顕子。
しかも最後はメイキングまであるし。
感動しちゃいました。

で、矢野顕子。

個人的に一番好きなアルバムは「ただいま。」と「愛がなくちゃね。」。

その頃行った渋谷公会堂のライブはドラム高橋ユキヒロ、キーボード坂本龍一、ベース細野晴臣、ギター大村憲司、つまり当時のYMOのツアーそのまんまで興奮したり。

有楽町朝日ホールでのライブではピアノが2台置かれていて、それを見ただけでもう分かるんですけど、案の定途中から坂本龍一が加わっての連弾になったり。

軽井沢大賀ホールで娘と行ったライブでは、客席が半分も埋まっていない静けさとは裏腹に、アッコちゃんが「さっき決めた」セットリストの数々の名曲をいつものように即興で弾きまくる姿に、感動で涙が出てきたり。

弾けないくせに楽譜まで買ってしまいました。

で、最初に書いた「ISETAN-TAN-TAN」、よかったらネットでチェックしてみてください。

届いた「思い」

2015.01.30

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このたび新規の酒販免許を取得して、晴れて「酒屋」として独立した恩人。
彼の的確なアドバイスがいつもどれだけ励みになっているか、計り知れません。

そんな彼に、今の私に飲ませたい3本というテーマで、お任せでお酒を注文しました。

そして届いたのが写真の3本。
添え書きとして「火入れ・加水の妙を考えました」とありました。

たぶん今の私に伝えたいこと・教えたいことがこの一升瓶の中に満載されていることと思います。
恩人の思いをしっかり受け止めながら、早速今晩開ける予定です。

落語の愉楽

2015.01.24

たった今、事務所で仕事をしていると、旧知の落語家三遊亭鬼丸が顔を出しました。
明日、故郷上田市で開かれる初めての独演会を前に、わざわざ挨拶に来てくれたのでした。
ちなみにチケットは完売。
もちろん私も行く予定です。

落語が好きです。

初めての寄席体験は学生時代。
サークルの仲間たちと何とはなしに足を運んだ新宿末広亭で、寄席の魅力と、そしてトリを努めた今は亡き古今亭志ん朝の高座にぶっ飛んだのでした。

東京で仕事の合間に時間が空くと、束の間の休息を兼ねて上野の鈴本演芸場に足を運ぶことがあります。
寄席は好きな時間に入って出られるのがまず嬉しい。
そして出演者によって当たりはずれが大きいのも寄席の魅力です。
誰とはいいませんが、親子2代の大御所の名前に惹かれて入ったら大はずれだった事もあります。
ちなみに色物では、林家正楽の紙切りや、あしたひろし順子の漫才なんかは個人的に当たりです。

東京の社員旅行で、当社の「新酒を味わう会」に2年続けてゲストでお越し頂いた金原亭馬生を聴きに鈴本演芸場に入ったら、偶然楽屋から出てきた師匠にバッタリ。
全員分の手ぬぐいを頂戴したのはラッキーでした。

最近では、あとは上田に帰るだけという夜の東京で、贔屓にしている立川談慶のホームページを調べたら、すぐそばの上野広小路亭で師匠がトリを努めていることが分かって駆けつけ、十八番の「井戸の茶碗」を堪能させて頂いてから最終の新幹線に飛び乗りました。

3月には上田で完成したばかりの新しい市民会館「サントミューゼ」で、「立川志の輔・談春・談慶兄弟会」という、凄まじいといえば凄まじい落語会があります。
よくぞこの顔ぶれが集まったものです。
上田出身談慶師匠のお人柄でしょうか。

THE BAR Straight

2015.01.17

DMが届くたび、どうしても足を運びたくなるお店があります。

京都市祇園「THE BAR Straight」。

このお店を知ったのは30代、青年会議所(以下「JC」)メンバーとして燃えていた頃でした。

毎年1月下旬、京都市で全国のJCメンバーが会する「京都会議」が開催され、私も40歳でJCを卒業するまで参加していました。
会議のあとは定番の京都の夜。
仲間と共に散々飲み食いしたあと、もう少し京都の余韻を楽しみたくて、ごく親しい友人と深夜にフラリと入ったのが祇園の小路にあるこのお店でした。

落ち着いた店内、バラエティに富んだお酒のラインナップ、そしてバーテンダー山根さんの醸し出す雰囲気にいっぺんで虜になってしまった私たちは、毎年「京都会議」の締めの1軒として訪れ、そんな1年に一度しか顔を出さない私たちを山根さんは必ず覚えていて歓待して下さったものでした。

しかし40歳でJCを卒業してからは京都に行く機会がなくなり、このお店からも足が遠のきました。
そして次にこのお店を訪問したのは6年後でした。

長野県酒造組合の研修で滋賀県大津市に泊まった際、夜の懇親会のあとに私はひとりこのお店に行くために京都へ向かいました。

久々の「THE BAR Straight」。
思い切ってドアを開けた私と6年ぶりに目が合った山根さんが発した最初のひとこと、それは「あ、和田さん。いらっしゃいませ」でした。
覚えていて下さった・・・、何という感激。
打ち震える思いでした。

それから今日まで、残念ながらお店には行く事が出来ていません。
しかし途中で一度、DMに必ずひとこと書き添えて下さる山根さんのお気持ちに応えたくて、連絡を取ったことがあります。

今年は春以降に仕事で関西に行く機会がありそうです。
その時は「THE BAR Straight」への再訪を叶えられればと思っています。

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