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お誕生会

2021.10.22

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同じ10月生まれの親友と、毎年ふたりのお誕生会を開いています。

今年の会場は、ふたりの共通の親友が営む、隣町東御(とうみ)市にある「とんちゃん家」。

ここで飲みたいがために、わざわざひとりで電車に乗って足を運ぶこともある名居酒屋です。

お互いを祝しながら乾杯。
ビールから日本酒へと杯を重ねます。

ほろ酔い気分になってきた頃、店主が「ふたりのお祝いに」とワインをプレゼントしてくれました。

初めて見るラベル。
カリフォルニアの「Au Bon Climat(オー・ボン・クリマ) シャルドネ」。
これが驚くほどの美味。
数多あるヴィンテージ・ワインを飲み尽くしてきた親友も大絶賛しています。
聞くと、店主が独自のルートで仕入れたワインとの事でした。

ふたりとも相当酔っぱらっていたにも関わらず、あまりの美味しさにあっという間に1本が空になりました。

夜も更けて、気が付くと店内は我々ふたりだけ。
楽しいひとときを過ごす事ができて、明日からも頑張ろうという活力が湧いてきた秋の夜長でした。

「岬」

2021.10.16

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私が最も好きな作家のひとりが中上健次です。

もう何十回読んだか分からない、中上健次の初期の代表作でもあり芥川賞受賞作でもある「岬」。
読み込み過ぎて、本は黄ばんでいます(そのため保存用のハードカバーをもう1冊持っています)。

そしてその「岬」を含め中上文学がいかに生まれ、そして変遷していったかを詳細に描いた、高山文彦の「エレクトラ 中上健次の生涯」を読むたびに、再び「岬」を読まずにはいられなくなります。

中上文学を語る上で切っても切れないれないもの。
生まれ育った紀伊半島、新宮・熊野の大地。
紙に書き出さねば理解できないほどの複雑な家系。
そして彼が被差別部落出身であるという出自。

この3つは中上文学の生涯のテーマでもあります。

「エレクトラ」を読むと、これらがいかに小説を書く熱い衝動として、中上健次を突き動かしていったかがよく理解できます。

46歳の若さで世を去った中上健次の足跡を追いたくて、彼の生地の新宮を2度尋ねました。
事前に新宮観光協会に何度か連絡を入れたところ、当日は思いも寄らず観光協会の方がお出迎え下さり、中上健次ゆかりの場所を案内して頂き、感激したことを思い出します。
あの時の空気、あの時の匂いが今も感じられるからこそ、中上文学をより深く感じられる自分がいます。

プラチナカード

2021.10.09

9月9日に発売を開始した「和田龍登水ひやおろし」。
おかげさまで今年もご好評を頂いております。
当社の720mlの在庫は完売しました。
引き続き当ホームページの「『和田龍登水』お取扱い店」様でお求めください。

さて、今日の話題です。

先日、某ホテルチェーンから、更新されたメンバーズカードが届きました。
このチェーンの中では、渋谷のCホテルが大好きで、以前は折があれば泊まっていました。
しかし懇意にしていたフロントレセプションのチーフが変わってからはサービスの質が一変し、一見の客にはこのような接客をしているのかと感じた途端に気持ちが覚めて、それからは宿泊を控えるようになりました。
そしてコロナ禍もあいまって、ここ2~3年はこのホテルチェーンそのものを全く利用していません。

そんな中で届いたメンバーズカード。

ポイントを頑張って溜めて、ようやくゴールドカードになったのも束の間。
これだけ利用実績がなければ、封筒の中身は格落ちしたスタンダードカードだよなと思いながら開封すると・・・。
中に入っていたのは、何とワンランクアップしたプラチナカードでした。

えっ?
でも何で?

だって宿泊どころかレストランもラウンジすらも利用していないんですよ。
もしかして何かのキャンペーンでボーナスポイントでも付いたのかなあ。
訳が分かりません。

ただ現金なもので、気分が悪いはずはありません。
早速そのホテルのHPで特典を確認してみると、プラチナカードはあんなサービスもこんなサービスも受けられます。
そうなると、今度またこのホテルチェーンを使ってみようかなという気になって、完全に手のひらの上で転がされている私がいます。

でも私にとって、やっぱりホテルは人なんです。
設備や食事の豪華さよりも、ホスピタリティやサービスがいかに優れているかが基準です。
なので、もし今度このホテルチェーンに停まるとしたら、渋谷のCホテルで心のこもったおもてなしを提供してくれたスタッフがいる、名古屋か大阪に宿泊したいと思っています。
でもいつになりますかね。

今日のお取り寄せ

2021.10.02

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昨年の3月以降、コロナ禍の影響で東京にまったく行けずにいます。
そんな中、30年来お世話になっている東京のフレンチ・レストランから「お取り寄せ」を2品頼みました。

「レストラン・ヴァンサン」。

オーナーシェフの城悦男氏のお人柄。
彼が創り出すクラシック・フレンチの料理の数々。
そして落ち着きある店内の雰囲気と空気。
すべてが好きで、私にとって東京でフレンチといえばこのお店です。
ただしお伺いする時は、財布の中は清水の舞台を飛び降りる覚悟の毎回ですが(笑)。

今回お取り寄せしたのは写真の2品。
「真鯛のスモーク」と「ビーフシチュー」です。

シンプルなようでいて、どちらもフレンチの技術を駆使した逸品で、その美味しさといったら。
まさに絶品です。
「真鯛のスモーク」に付いてきたドレッシングも含めて、「ソースの城」の異名を取る城シェフの本領発揮です。

今回はピノ・ノワールの赤ワインを合わせましたが、真鯛とビーフ、今日のふたつの料理を1本で通すとしたら、日本酒も最適でした。

ワインはあえて料理を選び、日本酒は料理の枠を越えて幅広く調和する。
「マリアージュ」の愉しみに思いを馳せながら、城さんの料理に舌鼓を打った、秋の夜長でした。

「村上春樹ライブラリー」開館

2021.09.24

10月1日。
村上春樹の母校、早稲田大学構内に「村上春樹ライブラリー」(正式名称「国際文学館」)がオープンします。

設計は建築家の隈研吾、費用はユニクロのファーストリテイリング会長兼社長の柳井正が全額寄付しました。

館内は村上春樹が寄贈した直筆原稿やレコード(彼は作家になる前にジャズ喫茶を営んでいました)をはじめ、膨大な村上コレクションが並びます。
館内にはイベントに使える交流スペースや音響設備を備えたスタジオやカフェも併設されるそうです。

村上春樹と早稲田大学といえば、昨年の文学部の入学式でサプライズで登壇し、祝辞を述べたことが記憶に新しいです。
できれば私もその場にいたかった。

長野県の地方紙、信濃毎日新聞が社会面でこの件を取り上げています。
そこには今回の寄贈の理由を「僕には子どもがいないので、死後に資料や原稿が散逸するのを防ぎたかった」(信濃毎日新聞)とあります。

そしてもうひとつ村上春樹の発言で感激したのが
「中上健次さんが亡くなって文壇の主流が先細りになり、今や柱がない。ある程度、日本の作家の責務みたいなものを果たす必要があるだろう、僕にもできることがあるんじゃないか、と思う」(同)
という言葉です。

私が大好きな村上春樹が、同じく私が敬愛して止まない中上健次を取り上げて「現代文学の最後の主流」と位置づけている事。
そして村上春樹が中上に変わって文壇の柱となることを自らの責務として捉えている事。
村上春樹がここまで中上健次を意識していると知って、何だか震えが止まりませんでした。

村上春樹が大好きなのに加えて、大の生原稿フェチの私。
開館と同時に今すぐにでも飛んでいきたい思いでいっぱいです。
しかし「当面はコロナウイルス対策で入場を制限する」(同)そうです。
涙・・・。

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