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恩人を訪ねる

2018.04.13

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今から10年ほど前。
当社が東京エリアに進出するきっかけを作ってくれた恩人のひとりが、写真の齋藤哲雄さんです。

その時、齋藤さんは都内の有名地酒専門店の番頭でした。

酒質には厳しく、しかし心はあたかかく、いつも多くのご指導や未来へのビジョンをご提案下さる姿勢は、当時も今も変わりません。

しかし突如、齋藤さんを生死の堺をさまよう大病が襲いました。

長いこと面会も許されず、業界関係者で作る「齋藤さん応援団」に私も加わって、ただただ回復を待つ日々でした。

そして我々の期待に応えて、齋藤さんは帰ってきました。

「日本酒の世界に戻りたい」
齋藤さんが生きる支えとした信念がそれでした。

そして齋藤さんはその夢にさらに一歩近付くために、自身で小売酒販免許を取り、会員制酒販店「革命君」をオープンします。

商品は発送のみで基本的に来店客を見込んでいないゆえ、別称「秘密基地」と呼ばれるこの小さな店舗には、齋藤さんがセレクトした日本酒が最高の状態で管理された数機の冷蔵庫と、宅配便を作るスペースと、事務用のテーブルがあるだけですが、齋藤さんの情熱は溢れんばかりに詰まっています。
そして、そんな齋藤さんの復帰を待ち侘びた飲食店の方々からの注文が日々舞い込んできます。

そんな齋藤さんの生きざまは、テレビ東京のドキュメンタリー番組「生きるを伝える」でも放映されました。

今も齋藤さんは病気の後遺症と闘い、通院を繰り返しています。
でも齋藤さんと話すと、日本酒を生涯の仕事と出来た喜び、そして生きている喜びがひしひしと伝わってきて、私も頑張ろうという勇気と元気をいつも頂けるのです。

写真は先週「秘密基地」へお伺いした時の1枚です。
話が尽きず、あっという間に数時間が過ぎていきました。

私の大恩人、齋藤さん。
これからもよろしくお願い致します。

ご当地グルメ

2018.04.09

前出の「はとまめ」の女将がおっしゃるには、上田に行って何が驚いたって、居酒屋で冷奴にからしが付いてきたのが衝撃だったとの事。

え?
冷奴にからし、付けませんか?
上田だけの文化ですか?
女将と大盛り上がりのひとときでした。

ちなみに上田には、「美味(おい)だれ焼き鳥」というB級グルメがあります。
焼き鳥にかけるタレが独特で、すりおろしたニンニクがたっぷり入った醤油ベースのタレはトロリと粘り気があり、お店によって味が違うのも特徴です。

私が食べ慣れたお店のタレはニンニクの量もハンパなく、翌朝は妻に「こっち向かないで」と言われるほど臭いも強烈でした(笑)。

私は子供の時から当たり前にようにこのタレを食べてきたので、これがまさか上田だけの文化とは思いもせず、数年前に「美味ダレ」と命名され、上田市のB級グルメとして大々的に売り出したのがきっかけで、これがこの地域にしかない味わいである事を初めて知ったのでした。

話は変わりますが、カップ焼きそばの「焼きそばバゴォーン」。
知ってますか?

今も当たり前のように上田のスーパーには並んでいますが、これが長野県と東北地方だけでしか売っていないと知った時の驚きといったら。
私にとって「バゴォーン」は「ペヤング」や「UFO」と同じくらいメジャーなカップ焼きそばだと思っていたので、それはそれは衝撃でした。
その時は、話の種にと、すぐに東京に住む娘に「焼きそばバゴォーン」をひと箱買って送ってしまいました。

「美山錦」発売開始

2018.03.31

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お待たせしました。

「和田龍登水(とすい)美山錦」の発売を開始します。

甘美で華やかな、鼻腔をくすぐるフルーティな香り。
甘み・酸味・旨みのバランスがきれいに整った、芳醇な味わい。

こちらも搾ったお酒をそのまま瓶詰めした「無濾過生原酒」です。

当ホームページの「和田龍登水」お取扱店様でお求めください。

和田龍登水 美山錦
1.8L 3,200円(税別)
720ml 1,600円(税別)


話は変わりますが、東京は野方の商店街にある居酒屋「はとまめ」。
先週、こちらの2周年を記念して、「和田龍を囲む会」を開いて頂きました。

このお店は素敵な女将が腕を振るう、お料理もお酒もとっても美味しくて心安らぐ、お洒落お店です。

おかげさまで会は大盛り上がり。
21時終了予定が、皆で時の経つのも忘れ、気が付いたら23時30分。
私も危うく終電を乗り過ごすところでした。

このような大切な節目に呼んで頂いた女将、そしてわざわざ足をお運び頂いたお客様に心から感謝したひとときでした。

さらに嬉しかったのはその後。

今週になって、その時のお客様が2組、わざわざ東京から当社を訪ねてきて下さったのです。

実はたった今、そのうちの1組のご家族がお帰りになったばかり。
当日参加できなかった奥様に、その日お出ししたお酒に加えて秘蔵酒まで、今日はドライバーで飲めないご主人の分まで、しこたま飲んで頂きました。

ご縁って素敵です。

バースデー・ヴィンテージ

2018.03.23

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娘が大学院を無事卒業・就職したのをお祝いして、長男も交えて家族4人で食事をしました。

ハレの日に20年以上通い続けているレストランを予約する際に、今回は娘のお祝いである事を告げると、前日にシェフから電話が掛かってきました。

「娘さんは何年生まれ?」
「平成6年です」
「そう。分かった」

いつもの朗らかな明るい声の電話が切られたあと、一体シェフはどんなサプライズを用意して下さるのだろうと考えると、思わず胸が高鳴ります。

そして当日。
テーブルに着いた我々を笑顔で出迎えて下さったシェフから開口一番。

「おめでとう!今日は娘さんの生まれ年のワインを用意させてもらったからね」

見ると、ワインバスケットに乗っているのは、ボルドーはサン・テミリオン地区の極上の1本「シャトー・マグドレーヌ1994」。

こんなに素晴らしいワインの、しかも娘のバースデー・ヴィンテージをわざわざご用意頂いたシェフのお気持ちに、感激することしきりです。

ワインはしっかりデカンタージュされ、今回リクエストしたシェフのスペシャリテ「子羊のパイ包み マリアカラス」と一緒に、時間を掛けてゆっくりと楽しませて頂きました。

気が付くとあっという間の3時間。
ワインのエチケットはきれいに剥がしてもらい、娘が記念に持ち帰りました。

素晴らしいお料理と素晴らしい空間と、そして魅力あふれるシェフの人間性を今回もたっぷりと堪能した、至福のひとときでした。

「羊の木」

2018.03.14

山上たつひこ原作、いがらしみきお作画という、夢のようなコンビによる伝説の作品「羊の木」。

このたび映画化された影響もあるのでしょう。
どこの書店でも全く見当たらず、Amazonでさえ新品がなく高騰した中古しか見当たらなかった、その「羊の木」全5巻が、まさか近くの書店に平積みされているとは。
一瞬信じられず、しかし次の瞬間、感涙とともに一気買いしてしまいました。

山上たつひこといえば「がきデカ」ですが、その前作で、中学生の頃に貪(むさぼ)り読んだ「喜劇新思想体系」の衝撃に吹っ飛ばされた記憶があります。
そんな山上たつひこ、今はもっぱら小説家として活躍していますが。

そしていがらしみきおは何といっても「ぼのぼの」。
胸にキュンとくる作品もキャラクターも大好きですが、そんな愛くるしいイメージをかなぐり捨てて描かれ、映画化もされた「かむろば村へ」、これがまた凄い作品でした。

さて、「羊の木」は、11人の凶悪犯を極秘にひとつの市に移住させる国家ブロジェクトを託された地方の市長が、自身の立場と凶悪犯の更正との板ばさみに苦しみながら、次第に街や市民や家族までもが巻き込まれて変貌していくさまを描いたシリアスな物語ですが、映画版「羊の木」は、山上×いがらしのコンビだからこそ成し得た「狂気」や「日常と非日常の混沌」が今ひとつ描き切れていなかった気がします。

映画では内容も原作とはかなり違っていて、「羊の木」が映画化されると知った時の、あの胸の高鳴りに応える内容だったかといえば、原作に惚れ切っていただけに、正直、答えはノーでした。
評論家受けは結構良かったみたいですけど(特に錦戸亮の演技が絶賛されていました)。

ところで山上たつひこといえば、遅筆で知られる江口寿史が著書の中で、山上の原作をもらえた光栄に預かったにもかかわらず、一向に筆が進まず、最後は山上の逆鱗に触れて作画を断られる顛末を書いていたエピソードが、涙と笑いなしには読めませんでした。

それと学生時代、神保町の古本屋街で、捜し求めていた「中上健次全短編小説」をついに発見して、清水の舞台から飛び降りたつもりで買い求めたところ、その直後に、どこを探しても見つからなかった同書が再販された時のショックも思い出しました。
悩みましたが、どうしても古本ではなく新刊も欲しくて買い求めた本書は、今でも私の書架に並んでいます。

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