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「生きるを伝える」

2021.08.14

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お盆です。

地酒業界の至宝、地酒専門店「小さな酒蔵応援団 革命君」代表、齋藤哲雄さんが逝去されて半年が経ちました。

https://www.wadaryu.com/blog/archives/770.html

齋藤さんを偲んで、以前彼が出演したテレビ番組の録画を見直しました。

「生きるを伝える」テレビ東京 毎週土曜日20:54~

大きな病に打ち勝って人生に立ち向かう人の生きざまにスポットを当てたドキュメンタリー番組です。

齋藤さんが登場したのは2015年11月14日。
今から6年前です。

地酒専門店の番頭として脂が乗り切っていた32歳の時に大病に襲われ、休職を余儀なくされた齋藤さん。
しかし見事に復活を遂げた彼が、念願だった自らの店を立ち上げるまでの軌跡が、短い時間の中で生き生きと描かれています。

番組を見ながら、齋藤さんと語り合った日々を思い出し、不覚にも涙してしまいました。

齋藤さん、あなたはいつまでも私たちの心の中に生きています!

サービスの温度差

2021.08.09

私が足繁く通う2軒のセブンイレブンがあります。
この2軒のサービスの温度差があまりに違う、というのが今日の話題です。

まず雰囲気。
1軒は入った瞬間に明るく、その空気感だけで買い物が楽しくなります。
もう1軒は入った瞬間に暗く、そのどんよりとした空気が心を重くしていきます。
具体的になぜかは分かりませんが、本当に入った瞬間の空気感が真逆なのです。

次に店長。
前者の店長は底抜けに明るく、私も含めて客とすれ違うたびに「こんにちは!」「おはようございます!」と笑顔で挨拶をしてくれて、レジで会計をする時も含めてお客様と会話が弾んでいる光景がいつも見られます。
私も折あるごとに気軽に声を掛けさせて頂くことはしばしばです。
後者の店長は暗く、買い物をしている客に挨拶をする事はまずありません。
レジで会計をする時も笑顔すらなく、必要最低限の言葉しか発しないその姿勢からは、客をもなてそうという思いがまったく感じられません。

そしてスタッフ。
前者のスタッフは店長譲りの教育が行き届いていて、入店した瞬間に「いらっしゃいませ!」の声で迎えられ、レジが詰まっているととすぐにもうひとりが飛んできて「隣へどうぞ!」と案内してくれ、そして店長同様、お客様と会話を弾ませています。
ちなみにこのお店にはスリランカの黒人の男子留学生がいるのですが、とにかく彼が明るくて楽しい。
「らっせー(いらっしゃい)!らっせー!今日は唐揚げが揚げたてで美味しいよ!唐揚げ!唐揚げ!」と店内中に響くほどの大声で叫ぶ彼から「今日は唐揚げ、どうですか!」と聞かれて、ついつい毎回、彼のおすすめを買ってしまう自分がいます。
そのかわり彼は、行くたびに私を見つけると必ず挨拶をしてくれて、「あ、覚えていてくれているんだ」という嬉しさとともに、その気遣いにいつも感激しています。
たぶん彼の隠れファンは相当多いのではないでしょうか、それほどの人気者です。
一方、後者のスタッフ。
こちらのお店の若いスタッフはとにかく覇気がありません。
私のほうから「袋もつけてください」と大声で言っても、直後に「袋は付けますか?」と聞き返されたことも一度や二度ではありません。
しかも皆、笑顔なく小さな声で話すので、聞き取れないこともしばしばです。
「ありがとうございました」の声も客を見ることなく、ただ小さく言葉を発するだけで気持ちがこもっていないのが歴然です。
先日は会計を済ませたあと、私が「ありがとう」と言っても「ありがとう」のひとこともなく無視されて、さすがにこの時は憮然を通り越して寂しさすら感じました。

2軒とも立地がいいので客の流れが絶えない繁忙店ですが、どちらのお店からもいろいろな意味で大いに学ぶことがある毎回です。

「面白いお酒が好き」

2021.07.31

栃木に住む学生時代からの大親友、Sが休暇を利用して会いに来てくれました。

彼は今、栃木県のとある酒蔵に勤めています。
そして営業の精鋭として各地を飛び回っています(ただしコロナ禍ではそうもいかないようですが)。
テレビの旅番組で、蔵の直売店で彼が取材される姿を見た事も一度ではありません。

彼とは学生時代から何でも話せる仲で、卒業してからも折あるごとに会っては酒席をともにしていました。
時には栃木と上田の中間地点の高崎や伊勢崎で落ち合って、昼から飲み始めて、気が付いたら夕方になっていた事もありました。

コロナ禍となる直前には、たまたま出張中だった私が都内の百貨店で出店中の彼を訪ね、陳列中のお酒をすべて試飲して、彼の蔵が造るお酒の美味さに唸った事も鮮明に思い出されます。

この日彼が持参してくれた、蔵の「特別純米 無濾過瓶火入れ」は何よりのお土産でした。

さて、しばらく前に当社にひとりの女性客がご来店されました。
かなり日本酒に明るい方とお見受けしました。
その方曰く。
「全国的に美味しいお酒はたくさんあるけど、私はね、面白いお酒じゃないと嫌なの。
だから私が好きなのは、△△酒造さんと、(彼が勤める)○○酒造さんと、和田龍さんの『和田龍登水』なの」

こんな場面で、彼が勤める蔵と当蔵の名前が一緒に出てきた事に感動し、彼に連絡してしまった事は言うまでもありません。

コロナ禍が一段落した折には、彼を頼って蔵見学に行ける事を楽しみにしている私です。

「一人盆踊り」

2021.07.24

友川カズキのエッセイ集「一人盆踊り」が面白い。

友川カズキといえば、ギター1本でパワフルに歌い続けるフォークシンガーであり、詩人であり、画家であり、酒と競輪をこよなく愛するギャンブラーでもあり、その姿は昨年「どこへ出してもはずかしい人」というドキュメンタリー映画にもなりました。

そんな友川カズキが自身の生きざまを赤裸々に描いたのが、この「一人盆踊り」です。

個人的には、何といっても中上健次との交流のシーンが大好きです。

友川が尊敬し続けてきた中上とラジオ番組で初めて出会うシーン。
自宅のアパートの鍋パーティに呼んで、酔いつぶれて熟睡する憧れの中上の姿を感激の思いでそっと見つめるシーン。
その翌日、書架に並んでいた森敦の自宅に行こうと中上にいきなり言われて訪ね、森と話が嚙み合わないまま憮然として、そのままふたりで新宿ゴールデン街で飲み続けるシーン。
友川の詩集の表紙デザインを中上に批判されて、的を得た指摘だったたけにショックを受けるシーン。
友川の絵の個展に突然中上が現れて、作品を鑑賞した中上から「これだよ。俺が『岬』を書いた時と同じだよ」と絶賛されるシーン。
中上と朝までゴールデン街で飲んで、中上の定宿のベッドで目を覚ますと、中上は不眠のまま、編集者に見張られながら執筆を続けており、そんな中上から「お前は寝ていろ」と優しく諭されるシーン。

挙げ始めるときりがありません。

またこの書の中では、大島渚から「戦場のメリークリスマス」のヨノイ大尉役をオファーされながら、秋田訛りを直す事を条件とされたために断ってしまう有名なエピソードも綴られています。

盟友たこ八郎との日々の交流の描写も素敵です。

飯場を転々としながら歌を歌い続け、友と酒とギャンブルとに浸り続けた友川カズキの光と闇とを描いた「一人盆踊り」。
今日もページをめくる私です。

ちなみに三池祟史監督のカルト作「IZO」。
本人役でスクリーンの中で熱唱し続ける友川も、これまた出色です。
私は映画館で2回観ました。

齋藤さんが繋ぐ縁

2021.07.17

地酒界の至宝、「革命君」の齋藤哲雄さんがご逝去されて早半年が経とうとしています。

https://www.wadaryu.com/blog/archives/770.html

そんな中、昨日私が会社を不在にしている間に、素敵な来客がありました。
K辺さんファミリー3名、初めてのご来社です。

応対させて頂いた妻によると、K辺さんは「革命君」のご常連で、齋藤さんとも個人的にお付き合いが深く、今回は親交が厚かった上田市内の4蔵に齋藤さんのお墓の場所を伝える目的で、わざわざ信州までご来訪頂いたとの事でした。

私はお目に掛かれなかった無念さに後ろ髪を引かれながら、せめてもと思い、妻が聞いた番号に電話を掛けました。
電話口に出られたK辺さんに、私は、お越し頂いたお気持ちがとても嬉しかった事、お会いできなくて残念だった事、そして齋藤さんが繋げて頂いたこのご縁がどれだけありがたかったかをお伝えし、電話を切りました。

そして今朝、9時過ぎにご来社されたお三方を見て、それがすぐにK辺さんご一行だと分かりました。
昨日は上田で泊まり、私から電話も頂けたので再訪されたとの事。
そのお気持ちがどれだけ嬉しかったか。
4人でしばし齋藤さんの思い出話で花が咲きました。
このブログもしっかり読んで下さっているとの事でした。

確かにコロナ禍でなければ、齋藤さんの訃報を聞いて、すぐにでもお墓詣りに駆け付けているはずでした。
そんな思いを汲んで、わざわざ情報を届るために信州まで足を運んで頂いたK辺さんのお気持ちには、ただただ感謝の思いでいっぱいです。

そして齋藤さんが亡くなったあとも、今回も含めてどんどん広がっていく多くの方とのご縁を、齋藤さんが遺して下さった大切な財産として、これからも大切にしていきたいと思います。

K辺さん、本当にありがとうございました。

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