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名店復活

2011.07.30

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先日、出張する日の明け方に一通のメールが届きました。
それは一軒のバーが営業を再開するという嬉しい知らせでした。

バー「WEST END」。
閉店時の顛末は2010年4月3日の当ブログに記してあります。

渋谷の東急百貨店本店のほぼ斜め前にあったこのクラシックバーは、私にバーの楽しみとカクテルのおいしさとを教えてくれた、それはそれは大切なお店のひとつでした。
若きバーテンダー兼オーナーの前田さんが見せる繊細な気遣いは、深夜のカウンターを挟んで、訪れたすべての客の心に安らぎを与えてくれました。
しかし昨年3月31日、突然の閉店・・・。
あれから前田さんと「WEST END」の復活をどれほど待ち望んだことか。

そして今回突然送られてきた営業再開のメール、その文末には「心よりご来店を楽しみにしています」とあります。
ええ、もちろん行きますとも。
しかもメールが届いたその日のうちに。
出張の日と重なったとは何と運のいいことか。

そしてその日の夜。
午後10時を回った頃、私は新生「WEST END」に向かったのでした。

新しいお店の場所は三軒茶屋です。
しかも住所から検索すると駅からすぐのところにある様子です。
国道246号線から左折して、飲食店がずらりと立ち並んだ通りをキョロキョロ見渡しながら歩いていると・・・ありました、「WEST END」の看板です(写真)。

はやる心を抑えて階段を4階までまで昇り切り、小さなドアを開けると、目に飛び込んできたのはまず前田さんの笑顔です。
変わっていません。
バーテンダーの衣装に身を包んだ前田さん、今もそのままです。

「早速来ちゃいました」と照れる私に、前田さんも少し驚きながらも「ようこそお越し下さいました」と笑顔で答えてくれ、そこには1年半のブランクを感じさせない、いつもながらの「WEST END」の空気が流れていました。

あいにくカウンターがいっぱいだったので窓際の2人掛けのテーブル席に腰を落ち着け、再開後の最初の一杯はもちろん「ホーセズネック」です。

前田さんにおいしさを教えて頂いたこのカクテル、ブランデーとジンジャエールをブレンドし、らせん状に切ったレモンの皮を添えただけのこのカクテルが、作り手によってどうしてこうも味わいが違うのか。
カクテルの奥深さを教えられた一杯です。
ちなみに私のスタンダードは前田さんから教わったスコッチ&ドライジンジャーです。

そうこうしているうちにもグループのお客様、あるいはひとりやふたり連れのお客様、入れ替わり立ち替わりみんな「WEST END」に集まってきます。

私はもう一杯、前田さんお任せの、通称(私が勝手に言っているだけですが)「前田スペシャル」を頼み、それをゆっくりと味わいました。
本当は「僕のイメージのカクテルを」とでも言ってみたかったのですが、グレー一色のカクテルなぞ作られては堪らないので我慢しました。

支払いを済ませお店をあとにする私を、階段を降り切るまで見送って下さる前田さんの姿を目に留めながら、心安らげる場所が再び一軒増えたことに喝采を叫んだ、そんな夜でした。


WEST END

東京都世田谷区三軒茶屋1-36-6
ラビ三軒茶屋4F

03-3795-1535

レナード・ニモイの思い出

2011.07.21

ピーター・フォークが亡くなりました。
私も小学生の頃から「刑事コロンボ」の大ファンで、しばらく前にはDVDも全話揃えてしまいました。

「刑事コロンボ」といえば、初期の作品「構想の死角」ではスティーブン・スピルバーグが監督するなど、スタッフやキャストにさり気なく有名人が名前を連ねることで有名です。
そんな意味で私にとっての「刑事コロンボ」の思い出の一作は、何といっても「溶ける糸」です。
それは犯人役の外科医に、あのレナード・ニモイが扮しているからです。

レナード・ニモイ、そう、「スタートレック」で耳のとがったバルカン人、ミスター・スポックを演じている俳優です。

ちなみに私は「スタートレック」も大好きで、「サウンド・オブ・ミュージック」のロバート・ワイズ監督による映画版「スタートレック」の第1作は、そのヒューマニズム溢れるラストシーンに、当時高校生だった私は、映画館の暗闇で涙が溢れて止まらなかった事を覚えています。

さてそのレナード・ニモイが、「刑事コロンボ」では「スタートレック」とは打って変わって、シリアスな外科医を演じました。
私はその一挙手一投足まで見逃すまいと、当時ビデオにまで撮って何度も見返しました。
完全犯罪を仕組んだはずのレナード・ニモイが、コロンボに徐々に追い詰められていき、最後はコロンボに屈するまでの数々の演技や表情は、「スタートレック」とはひと味もふた味も違ったレナード・ニモイの魅力が存分に発揮されていて、大いに興奮したものです。

そして大学生の時にもうひとつ忘れられない出来事がありました。
当時東京に住んでいた私は、その日たまたま新宿の紀伊国屋書店に出向いたのですが、何やら凄まじく混雑している一角があります。
好奇心いっぱいで覗いてみると、何とそこにはレナード・ニモイ本人がテーブルに座っているではありませんか!

それは映画版「スタートレックⅡ・カーンの逆襲」の宣伝のため来日したレナード・ニモイのサイン会の現場だったのです。

あまりの感動と衝撃とに呆然としていると、何と、書店のスタッフがあと数名だけサインを受け付けると叫んでいます。
殺到する希望者の群れに私も加わり、そこでジャンケン大会が繰り広げられ、日頃ジャンケンに弱い私がこれまた何と、勝ってしまったのです。

そしてレナード・ニモイ本人の前に立った時の興奮は今でもはっきりと覚えています。
「Nice to meet,you!」のひと言とともにサインしてもらった「スタートレック」の単行本は今も私の書庫に大切にしまわれています。

今回ピーター・フォークの訃報に触れて、そんな思い出が蘇ってきました。
コロンボが好物のチリを食べているシーンに憧れて、銀座で初めてチリを食べたのも学生時代の懐かしいワンシーンです。

サービス業の真髄

2011.07.14

社員旅行で知多半島まで行って参りました。

その際宿泊したのが、私が日頃から敬愛する旅行代理店の社長から自信を持ってお勧め頂いた「活魚の美舟」。
知多半島の突端、南知多町の海岸沿いに位置する、その名の通り「活魚料理」を提供する旅館です。

まず感動したのは、その絶好のロケーション。
道路を挟んで目の前に広がる伊勢湾の向こうには、紀伊半島や渥美半島の伊良湖岬、さらには幾つもの離島が浮かび、海なし県の長野県民には何よりの光景です。

温泉につかったあとはいよいよ宴会ですが、こちらの料理も素晴らしいのひと言。
まだ身がピチピチと動く鯛の活き造りをはじめとした海鮮料理の数々は質も量もたっぷりで、社員の皆には生け簀の好きな魚を追加で頼んでいいよと言っていたにも関わらず、コース料理だけで大満腹・大満足の晩餐でした。

しかし、今回この「活魚の美舟」で心打たれた出来事は他にありました。

実はこの旅館が素晴らしかったからこそ、あえて一点だけ気になる点があって、それを後日指摘した時のことです。
それは普通の旅館でしたら言及する必要もないような、本当に些細な一点でした(ここではそれが何だったかはあえて触れません)。
でも、余計なお世話とも言えるこの申し入れを、この旅館はしっかりと受け入れて下さる予感がありました。

それは我々のチェックインとチェックアウトの対応をして下さった女性の専務さんが、ホスピタリティに溢れた素晴らしい方だったからです。

チェックインの時に初めて会話を交わした瞬間から、この専務さんはお客様の喜びを自らの喜びとする、そんなおもてなしの思いに溢れたお人柄がこちらにもひしと伝わって参りました。
チェックアウトの時、フロントのスタッフに「専務さんにくれぐれもお礼を申し上げて下さい」と伝えた直後、バックヤードから飛び出してきて下さった専務さんの明るい笑顔は、今回の宿泊の一番のお土産になりました。

だからこそ今回の一件も、私はその専務さんに宛てて発信致しました。
そうしたら思った通り、専務さんからすぐに返信のメールがありました。
それは私からの申し入れを真摯に受け入れて下さった、暖かさと誠実さとに満ちた内容のメールでした。
あとで前述の旅行代理店の社長に伺ったところ、専務さんはパソコンに不慣れな中で、一所懸命返信を打って下さったとの事でした。

今回の一件で、いつかまたぜひ「活魚の美舟」に再訪したい、そして再び専務さんにお目に掛かりたい、そんな思いに駆られています。
そしてサービス業とは、文字通り「サービス」という心と心の触れ合いが何よりも大切な事を実感した出来事でした。

活魚の美舟 http://www.mifune.yad.jp/

「長野の酒メッセ in 東京」開催

2011.07.07

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写真上:開場前の風景
写真下:和田龍酒造のブース


昨日、グランドプリンスホテル高輪にて「長野の酒メッセ in 東京2011」が開催され、弊社も出展して参りました。

猛暑のさなか、午後1時から午後8時まで、立錐の余地がないほどの大勢のお客様がご来場され、会場は終始熱気に包まれました。

今年で2年目の参加となる弊社のブースにも、旧知のお客様、また昨年のこの会でお知り合いになったお客様が多数足を運んで下さり、そこに新しいお客様も加わって、妻ともども、感謝の思いとともにお酒を注がせて頂きました。

開場してからずっと、それこそ休む間もなくお客様にお酒をお振る舞いし続けましたが、不思議と疲れは感じません。
お客様との会話に花を咲かせ、大いに笑い、そして私たちも楽しんでいるうちに、ふと時計を見ると、時計の針は既に午後7時過ぎ。
えーっ、時間が経つのがあまりに早い事に思わずびっくりです。

最後のお客様をお見送りし、片付けを終えると、それまで感じることがなかった足の痛みがどっと一気に押し寄せてきました。
でもこの心地よい疲れを感じる時こそが、展示会を無事終えた時の至福の瞬間なのです。

改めまして、今年もわざわざ和田龍酒造のブースへ足を運んで下さった皆様に心より御礼申し上げます。
これからも頑張ります。
本当にありがとうございました。

気になる言葉遣い

2011.06.30

最近仕事やプライベートで、とても気になる言葉遣いがあります。
それは「はい」ではなく「うん」と受け答えされる事です。

例えば買い物や商談の場で、こちらからの質問に対して、あるいはこちらの言葉に相手が相槌を打つ時に、「はい」ではなく「うん、うん」などと答えられると、一気に気持ちが冷めていくのが分かります。

私は基本的に、買う側も売る側も立場はイーブンというスタンスなので、自分が客側の時こそ、売る側である相手には丁寧に接していこうと思っているのですが、「うん」という受け答えはそんな思いを台無しにしますね。

電話でこちらが丁寧な口調で話している時に「うん、うん」と言われると、別の人に変わってくれと即座に思いますし、直接話している時にそのような言葉遣いをされると、それ以上話す意欲を一気に削がれます。

先日も仕事の電話で、こちらからの問い掛けに終始一貫して「うん」「うん」と答え続けた女性に対して、「です、ます」調で話していた私も、この人にはこちらの真心は通じないと瞬時に察して、あえて丁寧な言葉遣いを止めました。

普段から付き合いがあって気心が知れた人には、もしそのような言葉遣いをされた場合は、僭越な言い方ですがその方の今後のためもあえて忠告致しますが、その場限りの場合は不愉快な思いだけが心に残ります。

余談ですが、今私が愛用している車を買ったディーラーの営業マンが、当時は新人でしたがなかなか優秀なセールスで、彼のおかげで気持ちよく納車まで運びました。
ただひとつだけ気になる事があったので、最後に彼にあえて忠告しました。
「あなたのためを思って言うので、気を悪くしないで聞いて下さい。お客様は見ているので、爪は短く切ったほうがいいですよ」
彼は今でもその時のことを懐かしく話してくれます。

言葉のキャッチボール、そして気持ちのキャッチボールは、お互いが相手に敬意を持った上で、それがきれいに通じ合った時は、いつも気持ちがいいものです。

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