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テイクアウト

2020.04.30

新型コロナウイルスの影響で飲食業界は大打撃を受けています。
そんな中、日頃からお世話になっている皆様の力に少しでもなれればと、地元のテイクアウトの情報に目を走らせる毎日です。

本日は旧知の東京の地酒専門酒場から購入したペアリングディナーチケットが届きました。
これは日本酒と料理のペアリングコースのチケットを前もって購入するもので、1年間有効です。
こちらのお店からこの案内が届いた時、迷うことなく申し込みました。
今からお伺いできる日を心待ちにしています。

また、30年来のお付き合いのフレンチのシェフからもお電話を頂き、ビーフシチューのテイクアウトを注文。
届いた日に早速頂いたところ、いつもお店で食べるシェフの味がそのまま家庭で蘇り、誇張でなく思わず涙してしまいました。

地元上田市では商工会議所が「もっテイク上田」という、テイクアウト&デリバリーの情報サイトをこのたび開設しました。
各店のメニューを眺めながら、今日はどれにしようかあれこれ迷う毎回です。

ちなみに今回の事態を受けて、国税庁の大英断で、飲食店に「期限付き酒類小売業免許」が付与されることになりました。
この免許を取得することで、飲食店も(6ヵ月の限定ではありますが)酒販店同様にお酒の販売が許可されます。
これにより、テイクアウトの際にお持ち帰り用としてお酒を一緒に売る事が可能となるのです。
既に関東圏では多くの飲食店さんがこの免許を取得しています。
信州でもこの動きがもっともっと広がることを願っています。

「ゴーン・ガール」

2020.04.21

家飲みが続く毎日。
先日の日曜日はデヴィッド・フィンチャーの「ゴーン・ガール」を観ました。

デヴィッド・フィンチャー。
類に漏れず、私もデビュー作の「エイリアン3」に失望し、しかし次作の「セブン」に狂喜乱舞したひとりです。

そして「ゴーン・ガール」。
今や監督の名前で観るひとりなのに、公開当時は映画館で見逃し、今になってようやく重い腰を上げたという体たらくです。

傑作でした。
面白かった!
☆☆☆☆☆です(5点満点)。

冒頭ではこの物語でどうやって2時間30分を持たせるのだろうと訝(いぶか)しがっていた自分を、見終わった今、恥じています。
緊迫感に満ちた独自の映像、息をもつかせぬストーリー展開、そして予想だにしなかったクライマックス。

「そう来たか」と呟いて呆然とエンドクレジットを眺めながら、スタンリー・キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」を思い出していました。
この二作に共通項はないのですが、さらりと重いラストシーンの衝撃が類似していて・・・。

ちなみに当時「アイズ・ワイド・シャット」を観た映画館では、ガラガラの館内で、成人映画扱いで18R指定にもかかわらず女子高生のグループがど真ん中で固唾をのんで(というのは私の想像ですが)観ていた光景が思い出されます。
トム・クルーズとニコール・キッドマン夫妻の演じる夫婦も白眉でした。

それにしてもデヴィッド・フィンチャー、やっぱりいいわぁ~。
何よりも(抽象的な言い方だけど)エッジが立った映像美がいい。
どのシーンも観終わったあとから残像として残り、心の緊張が積み重なっていく。
折り畳むようなストーリー展開と相まって、唸らずにはいられません。

という訳で往年の名作を求めて、先日もAmazonで安かったので「ダーティハリー」全5作のコンプリート版を予約してしまいました。
いつ観られるのかは定かではありませんが、とりあえず見つけたら買っておく、の姿勢です。

「和田龍登水 山恵錦」発売開始

2020.04.14

「和田龍登水」シリーズのトリを飾る「山恵錦」が発売となりました。

折しも3月下旬、農水省にずっと申請中だった認可がおり、これで正式に長野県の酒造米として「山恵錦」の名称が名乗れる事になりました(ちなみにこれまでの正式名称は「信交酒545号(山恵錦)」という味気ないものでした)。

さて、今年の「和田龍登水 山恵錦」。
清涼感があふれ、爽やかで軽快な味わいです。
あっという間に1本空いてしまうかもしれません。
これが数か月経つと、生原酒ならではの熟成が掛かり、またひと味違った風味と変化していくのも醍醐味です。
ぜひご賞味頂ければ幸いです。

和田龍登水 山恵錦
1.8L 3,200円/720ml 1,600円

「怖い話を集めたら」

2020.04.11

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先週に続いて本の話です。

旧知の友人でもある女流官能小説家、深志美由紀(みゆき・みゆき)。
彼女が新境地を開いて、このたびホラー小説を出版しました。

「連鎖怪談 怖い話を集めたら」

結論から言います。
めちゃくちゃ面白くて、そして怖い。
身びいきなしです。

いわゆる視覚的な怖さではなく、心の内をじわじわと抉(えぐ)り取っていく精神的な怖さで、読者のメンタルにぐいぐいと食い込んできます。
大きなストーリーの中で一話完結の連作集となっているので、読み進めるごとに怖さがぐんぐんと加速して、その怖さがクライマックスで炸裂します。

息をもつかせぬ面白さで、私も深夜に一気読みでした。

振り返れば彼女の初期作品「はつ恋」なんかも、実はホラー色が滲み出ていて、あれから約10年、今まさに彼女の隠された才能が見事に開花した、そんな事を感じさせる快作でした。

集英社文庫なので手軽にサクサクッと買えます。
もしよろしければご一読を。

先崎学九段のこと

2020.04.04

将棋棋士、先崎学九段の新刊「将棋指しの腹のうち」を深夜に一気読み。
やはりこの人の著書は面白い。
先崎先生の本は全部持っていますが、どれも彼の文章は明るくて、そしてユーモアとウイットに富んでいて、読んでいて気持ちが明るくなるのが嬉しいです。

前著「うつ病九段」だって、彼がうつ病を患って棋士を1年間休業して闘病した様子を描いているのたけれど、リアルな中にも暗さは微塵も感じられず、読了後はただただ素敵な文章を読んだという清涼感が残る素敵な一冊になっています。
ただ先崎先生が病名を公表せずに休場を発表した時は、何が起きたのかとファンは大変心配したものですが。

先崎先生の文章で素晴らしいのは、交流のある棋士の失敗談を明け透けに打ち明けたりプライベートの姿を面白おかしく茶化したりしているのだけれど、そこには相手への敬意と愛が満ち溢れている点です。
今回の著書のあとがきでも、羽生善治先生をはじめとして、登場した多くの棋士に詫びながらも、でも僕が書くのは僕が大好きな人ばかりです、と明言されていて、彼の手に掛かるとどの棋士も本当に輝いて見えるから不思議です(いや、実際に輝いているのですけど)。
現役時代の加藤一二三先生に、誰も聞けなかった謎をズバリと聞くくだりなんかは爆笑ものです。

そんな先崎先生ですが、何年も前、将棋界の最高クラスであるA級を降級するかどうかの一番をテレビの生放送で観た時の衝撃は今も忘れません。
深夜、いよいよ敗勢に追い込まれて、膝を抱え頭を掻きむしり体をよじって盤上に没入する姿は、いつもの先崎先生とは別人の、闘う人間の凄みと美しさがそこにはありました。
結局彼は破れ、降級が決まってしまうのですが、多くの人の心を激しく打ったことは間違いありません。

病気から復帰され、今はまた元気に活躍されている先崎学先生。
そんな先崎先生と、一度酒席をともにしてみたいなあ。

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