記事一覧

駅ピアノ

2022.08.26

ファイル 843-1.jpgファイル 843-2.jpg

BSの番組「駅ピアノ」が好きです。

写真は中央本線と小海線とが合流する小淵沢駅の駅ピアノです。

先日、小淵沢駅で小海線から中央本線に乗り換えようとしたところ、急な電話が入って数分の乗り換えに乗り遅れてしまい、1時間後の次の電車を待つ間、改装されて真新しい小淵沢駅の構内をふらつきました。

駅の屋上にある八ヶ岳の絶景を見渡せる展望台を堪能したあと、階下に降りると、建物のはずれにある、あまり人の目に触れることがないであろう駅ピアノを発見しました。

さすがに弾く勇気はありません。

しかしそのすぐ隣に位置する、その時は解放されていた「セミナールーム」で本を読んでいると、ピアノの音色が響いてきました。

弾いているのは二人連れの若い女の子のようです。
鍵盤を叩きながら、楽しい嬌声が聞こえてきます。
曲目はポップスのようですが、知らない曲です。

考えてみれば、ナマで聞く「駅ピアノ」は初めてです。

決して流暢とはいえないけれど、ふたりの仲の良さがそのまま伝わってくるあたたかな「駅ピアノ」の音色にしばし耳を奪われました。

ふたりがピアノの蓋を閉めて去ったあと、私は再度ピアノの前に立ちました。
そっと蓋を開けて、端から端まで鍵盤を撫でて、そしてまたそっと蓋を閉めました。
駅の片隅に鎮座している駅ピアノが何だか息をしているようで、そのさり気ない存在感にいとおしさを感じたのです。

スターバックスの謎

2022.07.22

「スターバックス」によく行きます。
仕事が一段落したあと帰宅前に気分転換に寄る事が多いです。

今日は、そのうちの1店の「スタバ」の話です。

この「スタバ」はスタッフ(「スタバ」ではスタッフを「パートナー」と呼びます)の皆さんのサービスがとても心地よく、カウンター越しの会話に気持ちが弾む毎回です。
以前オーダーした商品とか、前に話した内容とか、皆さん驚くほどよく覚えていて、その都度さり気なく感激している私です。

そんなお気に入りの「スタバ」だからこそ、ひとつだけ「あれっ?」と思う事があります。

それは何かというと、スタッフの方が買い物をするために制服のままカウンターに並ぶ事がたびたびあるのですが、うしろにお客様が並んでも順番を譲らない事。

先日は私が並ぶ直前に、バックヤードから出てきた女性スタッフがすいっと平然と私の前に入り、それを見ていたカウンター内のスタッフも悪びれる事なく、並んだスタッフを先に通していました。

でも、それって違うよねっていつも思います。

制服のまま買い物をするのであれば絶対にお客様を優先するべきだし、仮に私服であってもバックヤードやカウンターから出てきて買い物をするのであれば、うしろに並んだお客様に順番を譲るべきです。
そして、そうした決まり事が「スタバ」で徹底されていない事にいつも驚きを隠せません。

いつかこの思いを伝えられればと思っているのですが、誰がお店のトップかが分からず、どの方に言ったらいいのかが分かりません。

常に気持ちのいいサービスを受けられる「スターバックス」だからこそ、あえて愛情を込めて言いますが、このお店のこの「ルール」だけがずっと謎のままです。

2年ぶりの再訪

2022.07.02

2年ぶりの東京出張で選んだホテルは、迷うことなくいつものTPホテルでした。

とはいっても2年ぶりだし、スタッフも変わっているだろうし、私の事なんか忘れているだろうし、リクエストの履歴も消えているだろうし、今日は謙虚に、初訪問のつもりで向かおう。

そんな寂しい気持ちは、ホテルの玄関に着いた瞬間に消え去りました。

タクシーを降り立ち、出迎えのベルの女性に名前を告げた瞬間、「お待ちしておりました」という溌剌(はつらつ)とした挨拶とともに私の名前はすぐに館内に伝えられ、流れるように案内されたフロントの前では、アシスタント・マネージャーの男性が笑顔とともに待っていてくれました。

チェックインの手続きをしながらこの2年間の近況等を語り合っていると、係の女性から用意された部屋はアップグレードされた高層階の広い一室でした。

このあと夜にかけて親しい仲間との会食が控えており、翌日も早々のチェックアウトのため、せっかく用意して頂いた部屋を十分に堪能できないことに後ろ髪を引かれる思いで一杯でした(後ろ髪、ほとんどありませんけど)。

それでも深夜に戻ってきて、高層階から窓外の夜景を眺めていると、久々にこのホテルに戻ってきた事を実感出来ました。

チェックアウトの際は、昨日のアシスタント・マネージャーばかりでなく、旧知の宿泊部リーダーの男性までが駆け付けて下さり、「和田様が泊まられているとの事でしたのでぜひご挨拶をと」とあたたかなお見送りを受けながらホテルをあとにしました。

都内では外資系をはじめとして新しいホテルが次々にオープンしていますが、私が戻ってくるのはやはりクラシックなこのホテルと、そのホスピタリティに心打たれながら改めて深く頷いたのでした。

和装の美学

2022.06.06

将棋の棋聖戦が始まりました。

タイトル保持者、藤井聡太棋聖に、盟友である永瀬拓矢王座が挑戦する五番勝負の第1戦は、二度の千日手の激闘の末、永瀬王座が勝利しました。

その永瀬王座、私はちょっとだけ気になることがあります。
それは永瀬王座が、将棋のタイトル戦の正装ともいえる和服を身に付けないことです。

基本的にいつもスーツのみ。
通常の対局では問題ないのでしょうが、タイトル戦という晴れの舞台で、将棋の美しさ、貴賓さをアピールする絶好の機会に、和服を着用しない理由が何かあるのでしょうか。

以前は永瀬先生もタイトル戦で和服を着ていました。
ただし対局の前半だけで、後半はやはりスーツに着替えての対局でした。

何かのインタビューで、永瀬先生ご本人がこの件に触れていたことがあります。
曰く、タイトル戦でのスーツ着用を対戦相手に断っていた時もあったが、毎回その事に気持ちと時間を割くのもいかがなものかと思い、最近はこの件にあえて触れなくなった、といった趣旨だったと思います。

個人的には将棋のタイトル戦の品格を保つためにも、永瀬王座にはぜひ和服を着て頂きたいと思っています。
永瀬先生とその将棋には、それだけの魅力が溢れていると思っていますので。

それとも和服を着用しない特別な理由が何かあるのであれば、このような勝手を申し上げた失礼をお許しください。

以前もうひとり、確信的にタイトル戦にスーツ着用で臨んだ棋士がいました。

島朗九段。

当時新設されたばかりのタイトル戦の最高峰、第1期竜王戦で、米長邦雄九段を相手に、島先生は全局スーツ姿で通し、見事4連勝で竜王位に就きました。

ただこの時は、島先生は将棋界きってのファッション通として知れ渡っており、ブランド品の高級スーツを対局ごとに変えて着用したのも、自身の美学を貫き通すための戦略でした。
そのため、このスーツ作戦(?)は内外ともに好意的に認知され、米長先生は将棋も服装も普段とは違った島先生の感覚に翻弄(ほんろう)されたそうです。

スーツ姿でタイトル戦を戦った棋士がもうひとりいました。
加藤一二三先生。

名人戦の中原誠名人との最終局。
詰みを発見した瞬間に「うひょーっ」と奇声を発したという逸話とともに、念願の名人位を奪取した時の加藤先生のスーツ姿は、今も多くの将棋ファンの目に焼き付いています。
愛すべき加藤先生は将棋界の常識を逸脱し過ぎていて、何だかもう、すべてが許されてしまうんですよね。

乗り鉄の旅

2022.05.14

ファイル 828-1.jpgファイル 828-2.jpgファイル 828-3.jpgファイル 828-4.jpg

1枚目 妙高高原駅

2枚目 私が乗った車両。妙高高原駅にて。反対ホームの車両は妙高高原駅を起点とする「えちごときめき鉄道」の直江津行き。

3枚目 山あいの牟礼(むれ)駅

4枚目 長野駅のてんぷらそば 


ゴールデンウイークの後半、半日時間が空いた私は、せっかくのフリーのひとときを何に使おうか考えた挙句、そうだ、大好きな電車に乗りに行こう、そう決めて愛読書の時刻表をめくり始めました。

たった半日、遠くへは行けない。
でもあまり混み合っているところにも行きたくない。
気軽にローカルな鉄道旅を堪能できるコースはどこ?

そうして選んだのは、上田駅から「しなの鉄道」の終点の妙高高原駅まで行って帰ってくる、片道約2時間のちっぽけな旅でした。

途中、長野駅で乗り換えて、妙高高原駅に着いたらすぐに折り返す同じ車両に乗って、また長野駅で乗り換えて上田に戻ってくる、ただただそれだけの電車旅でした。

でも、それがいいんだよなあ。

本を1冊持って、ボックス席の窓側に座って、電車の揺れに身を任せる快感といったら。

特に長野駅以北は、電車は悠然と自然の中を走り、時には川の清流の畔(ほとり)に沿い、時には山の谷間を走り抜け、そして思い出す頃に小さな駅にゆっくりと滑り込む。
視線は窓外に釘付けです。

そして改札の外に出たのは、妙高高原駅で帰路に着くまでの30分だけ。

でもゴールデンウイークの喧騒を置き去りにしたような、行き交う人も車もなく、ガランとした静寂の駅前ロータリーにたたずむ時間が、これまた快感だったのでした。

それと行きの長野駅で食べた立ち食いそば、美味かったなあ。

ページ移動