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隣の客

2009.11.29

昨日も朝から予定が相次ぎそのまま夜まで、何とかひと息つけたのが午後9時過ぎでした。

初冬の寒さが肌を刺す上田の街を歩きながら、ちょっぴり燗酒で温まろうと、繁華街の片隅にある「海鮮処・祭」(2008/10/25の当ブログにも登場)の暖簾をくぐりました。
このお店は弊社のお酒も扱って頂いておりますが、それ以上に料理のおいしさとご主人はじめスタッフの皆さんの暖かさに心打たれて、折に触れ通う一軒です。

入口から中を伺うとカウンターからお座敷まで満席の盛況。
それでもカウンターの一番端にようやく席を見つけ、腰を落ち着けて、早速日本海直送の鯵や鮪そしてご主人お薦めのハタハタの焼き物を肴に盃を傾ける事しばし。
カウンター席でお客様が入れ替わり、初老の男性がひとり入ってきて座られました。
どうやらこちらの男性もお店の顔なじみのようです。
ご主人や女将と話をしているのを何とはなしに聞いておりました。

しばらくするとその男性、ビールに替えて日本酒を注文したのですが、どうやらいつもは弊社の「和田龍」を飲んで下さっているらしく、メニューの中のその他のお酒と「和田龍」とがどう違うかをご主人に熱心に聞かれ始めました。
そして最初の一杯は「八海山」を頼まれたのですが、そのあともその男性の口から「和田龍」の名前が何度も出てきて、そのたびにこちらは嬉しさと照れくささと、そしてもし批判されたらどうしようという緊張とでドキドキのしっ放し。
お店のご主人はその都度こちらを横目で見てにやにやされているし。

やがてその男性、「このお店には和田龍の社長は来ないのかい?」とご主人に聞かれて、もはやこれまで(笑)。
「いや、実は隣にいるこちらが専務で・・・」
というわけで、それからは打ち解けて、その方と語り合いながら楽しいお酒を飲みました。

こういった場面、時折あるんですよね。
私が飲んでいる隣で弊社のお酒の話題が出てくることが。
でもそんな時は、和田龍のお酒を飲んで下さっていてありがとうございますという感謝の気持ちと、反面、もし少しでも悪く言われたらどうしようという緊張の思いとで、いつもドキドキする毎回です。
大抵は今回と同じく、最後は正体がバレて楽しくお酒を酌み交わすのですけど。
それがご縁で親しくさせて頂いている方も少なからずいらっしゃいます。
まあこれも酒造業という仕事の醍醐味のひとつですね。

さて、予告です。
いよいよ今期の仕込みも始まりました。
第一弾として、12月下旬に恒例の「純米しぼりたて生原酒」を発売致します。
ここ2年ほどは年内に搾りがどうしても間に合わず、年を越しての発売となってしまい、毎年ご購入下さるお客様にご迷惑をお掛けして参りましたが、今年は何とか12月中に間に合う予定でおります。
楽しみにお待ち下さい。