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映画や映画館のこと

2013.11.01

先日、久々に大好きな「ゴッドファーザー」のDVDを観ました。
何度観ても掛け値なしの傑作です。

初めて観たのは大学生の時、東京の名画座の早稲田松竹で「ゴッドファーザー」「ゴッドファーザーPART2」という、今思えばあまりに贅沢であまりにヘビーな2本立てが上映された際でした。
合計で約6時間半。
でも観終わった瞬間、衝撃で吹っ飛びましたね。

それからすぐにマリオ・プーゾォの原作を買って読んで、これまたあまりの面白さに狂喜乱舞。

ちなみに我が家には、映画の「ゴッドファーザー」シリーズがDVDで3セット、原作本も上下巻で3セットあります。
保存版・もひとつ保存版・そして普段観る(読む)版です。
原作の文庫本は食卓に常備されていて、酒を飲みながら飽きることなく読み返しています。

そういえば先日、上映時間が長かった映画の話題になりました。

私が今まで観た中で一番長かったのは学生時代に観たベルイマンの「ファニーとアレクサンドル」。
5時間11分。
岩波ホールで、1日1回の上映でした。
だから入場料も高かった。
普通の映画の入場料が1,500円だった時に、確か2,500円だったかな?

傑作として名高い本作ですが、当時まだ人生経験の浅かった私には少し早すぎた映画でした。
上映中、決して飽きることはありませんでしたが、では本作の凄さは?ベルイマンの凄さは?と問われると答えられない自分がいました。
あれから30年経った今観たら印象がかなり違うはずでしょうね。

もう1本、上映時間が長かった映画といえば、これはもう誰もが知っている「十戒」。
中学生の時、地元上田の小さな映画館でリバイバルとして観ました。
ガラガラでした。

オープニング、まずはスクリーンの中に司会者が出てきて映画の説明を始めたのにビックリ。
そして「途中休憩があります。それではどうぞごゆっくりご覧下さい」的なナレーションが入って始まった本編は、冒頭からクライマックスの海が割れるシーンまで、今でも全編はっきりと脳裏に焼き付いています。

上田の映画館といえば、今思えば凄い映画館がありました。
何が凄かったって、当時は2本立て、3本立てが当たり前だったのですが、途中休憩が一切入らないのです。
そしてこの映画館にはロビーがありませんでした。
チケットを買って入口の小さなドアを開けると、そこがもう場内なのです。
なのでその日の朝一番に入らなければ、あとはいつ入場しても必ず前の映画のラストを観ざるを得ないか、あるいは次の映画の冒頭を見損なうか、どちらかなのです。
しかも平気でエンドクレジットを途中で切ってしまったり、映画とスクリーンのサイズが合っていなかったりと、やりたい放題の映画館でした。

でもそういう映画館で観た映画でも(そういう映画館だからこそ?)、心に残っている作品はたくさんあります。
「コンボイ」「カサンドラクロス」「ロッキー2」「合衆国最後の日」・・・どの作品も私にとっては今も心から離れない傑作ばかりです。

そういえば小学生の時、この映画館で「エスパイ」と山口百恵の「伊豆の踊り子」の2本立てを観に行ったら、次の上映作品の「エマニエル夫人」の割引券をもらって、シルビア・クリステルが上半身裸で足を組んだあの隠微なポーズに、大人への自我の芽生えを覚えたものでした。
でも普通、小学生に「エマニエル夫人」の割引券、配るか?