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こんな晩もある。

2010.07.20

相変わらず飲み続ける毎日です。

家に居れば居たで、いつもの習慣で他の蔵元のお酒をずらりと並べて片っ端から飲み倒し(勉強にもなるし何より楽しいのです)、外に出たら出たで1軒では飽き足らず、余力があればお気に入りの居酒屋やバーをハシゴする繰り返しです(ただし財布の余裕もあれば、の話ですけど)。
外で飲んだ時は、この辺で切り上げようと思っていても、結局はお酒や仲間の魅力に負けてしまい、気が付いたら日付が変わっているという事もしばしばです。

先日もこんな事がありました。

その日は月に一度の定例の飲み会で、男ばかり11名、いつもの居酒屋でどんちゃん騒ぎで盛り上がり、重い腰を上げたのが午後9時過ぎでした。
私もかなり酩酊してはいましたが、その足で以前このブログにも登場した近くの割烹「海鮮処・祭」へ。
ただし今日は飲むためではなく、近々開く宴会の予約をするために出向いたのでした。

ここ連日飲み会が続いた事もあり、さすがに今日はすぐに帰ろうと決意をして、お店のご主人と女将に要件だけを告げお店をあとにしようとしたところ、思わぬ話題で3人で花が咲いて、しばらく立ったまま歓談。
そうこうしているうちに「一杯飲んでいきなよ!」というご主人からの誘惑に負けて、結局はカウンターに座って飲み始める事と相成りました。

ちょうど宴会のお客様も引けたあとで、ご主人が調理して下さる旬の食材を肴に舌鼓を打ちながらグイグイと杯を重ね、うしろ髪を引かれながら席を立ったのは午後11時過ぎでした。

無事帰宅し、一風呂浴びて寝ようとしたところ・・・明日の早朝までに準備しなければならない買い物にハッと思い付いたのが運のツキ。
いつもならば明朝買い物に出向けばいいと冷静な判断が下せるのですが、そこは酔っ払いの勢いというもの。
気が付けば24時間営業のスーパーに向けて、再度自転車を漕ぎ出しておりました。

そのスーパーまでは自転車で約20分、決して短かい道のりではありません。
しかも、今あとにしたばかりの上田の夜の繁華街を再度突っ切らなければならないのです。

こういう時は偶然が重なります。
こちらも先月のブログに登場した「レストランバー・リビアーモ」のオーナーが、ちょうどお客様のお見送りで外に出てきたところにバッタリ遭遇。
さすがにその時は「ちょっと買い物があって」と事情を説明して、そのまま買い物に向かいました。

しかし現金なもので、いざ買い物が済んで安心すると、先ほど彼と会ったのも縁とばかりに、気が付けば買い物袋を提げたまま「リビアーモ」のドアを開けておりました。
「今日は一杯だけで帰るから」そう告げて、「レッドアイ」(ビール&トマトジュース)をキューっと空け、それではお勘定と思った矢先・・・ここでまた出来事が。

先程からカウンターの2席向こうでひとりで飲んでいた常連の女性が、スタッフの女性と囁いているのが聞こえてきます。
「あちらにいるのは和田さん?」
ギクリとしながら、さり気なくその女性の顔を窺ったところ・・・見覚えがありません。
誰だろうと思案していると、そのスタッフの女性が「和田さんの高校時代の部活の後輩との事です」と伝えてくれました。
高校卒業以来15年以上ぶりの再会、しかも女性とくれば、それは分からなくても仕方ない事と自分自身を納得させます。

そして彼女と挨拶を交わしたのですが、彼女は私を試しているのか、笑うだけで自分の名前を名乗ってくれないんですね。
後輩とだけ告げられて、1年下か2年下の後輩なのかも分からない。
それでも女性の名前を間違ること許されまじと、私は酔った頭をフル回転させて、当時の後輩の名前をひとりひとり記憶の彼方から呼び起こします。

表面上は平静を装ってはいても頭の中はフルスロットルです。
しかし酔いが頭の回転を妨げます。
そしてようやくひとりの後輩の名前に絞り込んで、勇気を出して恐る恐る「あなたは××さん?」。
間違ってました・・・爆。

いくつかのヒントでようやく彼女の正体(?)が分かってみると、紛う方無き高校時代の面影を残すNさんでした。
名前を間違った後ろめたさと、しかし本当に久々に会話を交わす楽しさとで、帰るはずだった私はまたカクテルを注文し、しっかりと腰を落ち着けていたのでした。

そんなこんなで時刻は深夜0時過ぎ。
帰途に付く準備をし始めたNさんを見て、今度こそ私もお暇(いとま)をと思った矢先、お店のドアが開いて入ってきたのは、以前から顔は知っていたもののこのお店で話をして俄然仲良くなったFさん。
「和田さん、隣いいっすか?」と、私とその後輩の間に座り、彼の楽しいトークが一気に炸裂します。
私はといえばいつの間にかスコッチをストレートで何杯も煽り、後輩のNさんをお見送りしたあともFさんと大層盛り上がって、家路に付いたのは午前2時半のこと。

ちなみに翌朝、というかこの朝の起床予定は4時半。
それでも帰宅してきっちり風呂に入って(健康上あまりよくないですよね)、居間のソファの上で束の間の睡眠に入ったのでした。

たくさんの偶然とそして出会いとに囲まれた、こんな晩もあります。

「酒祭り夏祭り」

2010.07.13

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去る10日(土)、東京都内の日本酒専門居酒屋で「酒祭り夏祭り」と題した日本酒のイベントが行なわれ、私も参加して参りました。

きっかけは1本のメールでした。
この5月に本ブログにも掲載した「長野の酒メッセin東京」に初出展した際、弊社のブースに何度もお立ち寄り頂き、それ以降数多くのアドバイスを頂いている都内の地酒専門酒販店の番頭さんから連絡があり、よかったらぜひ参加してみないかとの事。
当日は他にも多くの蔵元が見えられるので、きっと勉強になるはずだからというお誘いに、考える間もなく出席のお返事を差し上げておりました。

そして当日。
まず向かったのは集合場所に指定されている、その番頭さんが勤める地酒専門酒販店。
ここにたくさんの高名な蔵元の皆さんが集まるかと思うと、お店に近づくごとに緊張が高まります。
でも入口をくぐって最初に目に入ったのが、同じ長野県の高沢酒造の高沢さんご夫妻、今ものすごく注目されている蔵元さんです。
知った顔に出会えた安心感もあって一気に気持ちもほぐれ、あとは次から次に見えられる蔵元さんと名刺交換をしながら時間を過ごしました。

そうこうしているうちに定時となり、番頭さんを先頭に会場の日本酒専門居酒屋へ移動します。
初めてお伺いするこのお店、実はこちらの若き店長さん以下スタッフの皆さんも、これまた「長野の酒メッセin東京」以来たくさんのエールと叱咤激励とを送って下さる方々なのです。

お店の入口には「当店は日本酒の専門店です。申し訳ございませんが、日本酒を飲まない方のご入場はご遠慮願います」から始まる長文のメッセージが貼り出されていて、お店の日本酒に対する熱い思いにまず感動。
そして入口をくぐると、店長さんをはじめ顔馴染みとなったスタッフの皆様が出迎えて下さって、またまた感動。
そんな中、会に先立って、まずは蔵元のみでの利き酒が始まりました。

テーブルというテーブルにはこの日訪問した全蔵元のお酒が所狭しと並んでいて、私も他の皆さんの例に漏れず、片っ端から栓を空けて試飲していきました。
それにしても感動したのは、一本の例外もなく、とにかくお酒が旨い事!
しかしその旨さのベクトルは全て違っていて、どのお酒も一本一本がしっかり造り手の思いを自己主張して、それぞれが異なる旨さなのです。
言い方を変えれば、今ここで改めてブラインドで試飲しても全部当てられる、そんな個性にどのお酒も満ち満ちているのです。
それは、どの蔵元も自分の目指す酒質の方向性をしっかり定めているからに他ならないからでしょう。

時間を惜しんで利き酒しているうちに少しずつ他のお客様も入られてきて、気が付けば店内は満席。
時計は午後5時、イベントの開始時間となりました。
各々があらかじめお店に指定された席に着いて、店長さんの乾杯の発声のもとパーティは始まりました。

4人掛けの私のテーブルには、新潟県の千代の光酒造さん、料理研究家の稲垣知子さん、そして偶然にも以前から交流がある「オレンジページ」のムック本の女性編集長が同席されました。
利き酒会で抜栓した一升瓶がそのまま各テーブルに振る舞われ、ひと通り飲み終わるとテーブルごとにその一升瓶を交換し合い、差しつ差されつしながら、我々のテーブルでも楽しい会話に花が咲きました。

千代の光さんからは醸造技術のあれこれを、料理研究家の稲垣さんからは日本酒と料理とのマリアージュをはじめとした「食」にまつわる知識を、そして旧知のオレンジページ編集長とは近況報告を含めた四方山話を伺いながら、楽しい時間は過ぎていきました。

そうこうしているうちに時計は午後9時。
とりあえず中締めという事で一度はその場を締めたものの皆さんなかなか席を立たず、かくいう私も楽しい会話を肴にさらに飲み続ける事しばし、重い腰をようやく上げたのは午後11時近くでした。

たくさんの仲間とたくさんのお酒とそしてたくさんの学びとに囲まれた今日の7時間を振り返り、駅までの道のりを心地良い余韻に浸りながらゆっくりと歩きました。
そして駅の切符売り場で少考し、今宵この余韻をもう少し楽しむために、私の足は宿泊先のホテルではなく、もう1軒次のお店へと向きを変えたのでした。

和田龍 新酒を味わう会

2010.06.10

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毎年恒例の「和田龍 新酒を味わう会」を、今年も上田市内の会場で開催致しました。

今年で23回目を迎えるこの「新酒を味わう会」、社長や私が商売の枠を越えてお世話になっている皆様をお招きし、この春出来上がったばかりの新酒を、おいしいお料理や素敵な音楽とともにお振る舞いする、春の一大イベントです。

この日お集まり頂いたお客様は約100名。
わざわざ足をお運び頂いた皆様にご挨拶しながら、たくさんのお客様に支えられている感謝の思いを改めて噛み締めます。

この日の司会は、昨年に引き続いて、上田市にほぼ隣接する千曲市で「生坂屋商店」を営む若林数矢さんにお願い致しました。
彼は私より年下ではありますが、日本酒をはじめとする様々なお酒に対する情熱、あるいは長野県のみならず全国の酒事情を牽引するそのリーダーシップ等々、その人間性から私が心から尊敬する人物のひとりです。
私からのたっての依頼を、彼は今年も快く引き受けてくれたのでした。

会はまず社長の挨拶があり、その後は恒例の音楽タイムです。
毎年、社長もしくは私がご縁のある演奏家をお招きし、乾杯前のひとときを素敵な音楽でお楽しみ頂きます。

今年お呼びしたのは、弊社の社長と親交がある上田市出身のヴァイオリニスト、中澤きみ子さん。
世界各国を飛び回ってご活躍で前日ウイーンから帰国されたばかりの中澤さんがピアノ伴奏と共にご披露された曲目は、ベートーヴェンソナタ第5番「春」より第1楽章、そしてサラサーテの難曲「チゴイネルワイゼン」。
そして鳴り止まぬ拍手の中アンコールとして山田耕作「からたちの花」、これらの曲がストラディヴァリウスの音色(ねいろ)とともに会場に鳴り響きました。

演奏のあとは私から本日お出しするお酒の説明です。
本日お出しするお酒は5種類。
中でも、5年目にして納得の出来栄えとなった「登水(とすい)」の「吟醸酒」と「純米酒」についてはひときわ熱く語らせて頂きました。

そしていよいよ乾杯です。
ご発声は、上田市の繁華街で今年10周年を迎える「レストランバーLibiamo(リビアーモ)」のオーナーソムリエである坂田英昭氏(以前このブログにも登場)。
彼は若干20歳半ばでこのお店を開業し、以来良質のお酒とそして手ずから作り上げる料理とで今もたくさんのお客さんを魅了させ続けています。
私も繁華街に繰り出すと、その日の締めの一杯で必ず立ち寄る大好きな一軒です。
そんな坂田氏の素敵なスピーチとともに「乾杯!」、いよいよ酒宴が始まりました。

私もそれぞれのテーブルごとに、おひとりおひとりにご挨拶に伺います。

今年嬉しかった事のひとつとして、それまでは基本的に関係者のみだったこの「新酒を味わう会」に、和田龍を愛して下さる一般のお客様が加わって下さったこと。
それもわざわざお仲間おふたりを連れ立って、埼玉からのお越しです。
そのお客様Nさんは、日頃からこのブログで新しいお酒の発売を告知するたびにわざわざご来店下さり、その都度酒談義に花が咲き、昨年初めてこの会にご参加下さったのでした。
この日も楽しい会話で盛り上がりながら、結局3次会までご参加頂きました。

また、一昨年・昨年と2年連続でエレクトーン演奏をして下さった神田将さん(http://www.yksonic.com/index.html)も、今回は一般のお客様としてわざわざお越し下さいました。
それまでの常識を覆す現代エレクトーンの衝撃の演奏から早一年、皆様にご来場をご紹介差し上げると、この日も「今日は演奏はしないの?」「CDの販売はないの?」といった声とともに神田さんのテーブルにはお客様の列が絶えず、改めて神田さんの演奏が皆様に与えた感動の大きさを思い知らされたのでした。

途中はこれまた恒例の「和田龍グッズ」の大抽選会。
この日の景品は、前回のブログにも掲載した「酒ようかん真田太平記」をはじめ「和田龍Tシャツ」「和田龍エプロン」そして本日演奏頂いた中澤きみ子さんのCD、これらの商品が歓声の声とともに当選したお客様に手渡されました。

そして楽しい宴もあっという間にお開きの時間となりました。
改めて弊社の社長が前に立ち、皆様へのお礼の言葉を述べさせて頂きながら、今年の「和田龍 新酒を味わう会」が今年も無事幕を閉じました。
そしていつもの事ながら、中身が残ったお酒のビンをお客様が1本残らずお持ち帰りになったのを見届けながら、たくさんの方に支えられているという感謝の思いを新たにするのでした。

酒ようかん

2010.05.29

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弊社のある信州上田市は、真田氏が築城した上田城を中心に広がる城下町です。
そして昨今の歴史ブーム・お城ブームの盛り上がりや、上田市が舞台の映画「サマーウォーズ」の公開に伴って、上田市を訪れる観光客や「歴女」の皆様の数もうなぎ上りに多くなっております。

そんな中、弊社の本醸造酒「真田太平記」を使用した「酒ようかん 真田太平記」がこのたび発売されました。

ただし、製造したのは弊社ではありません。
販売元は、やはり上田市に本社を置く関製菓株式会社さんです。
そしてこの「酒ようかん」が生まれるまでにはひとつの物語がありました。

今からさかのぼる事40年以上前、私が物心ついた時に、私の会社にすでにその番頭さんはいました。
その番頭さんKさんは何かに付け、年端も行かぬ私をいつもとても可愛がってくれました。

そしてKさんには3人のお子さんがいて、特に私より一歳下の長男N君とはいつも一緒に遊ぶ仲でした。
蔵の中で遊んだり、あるいはKさんにふたり一緒にどこかへ連れていってもらったり、今でも楽しい思い出がたくさん蘇ってきます。

それから時が経ち、私は東京や大阪での修行を終えて20歳代後半で実家に戻り、それからしばらくして、Kさんは退職しました。
その時の寂しさ、心の空虚さは今でも忘れません。

そして更に時を経て昨年、Kさんが亡くなったという訃報が私の元へ届きました。
呆然としながら通夜会場へと賭け付けると、そこには久々に会う、目を真っ赤に腫らしたN君がいました。
しばらく会っていなかったにも関わらず、そこには小さい頃から慣れ親しんだN君がそこに居て、気が付くと私は彼に擦り寄って互いに悲しみの仲で言葉を掛け合っていました。
何かあったらいつでも連絡してきてほしい、そう言い置いて私は斎場をあとにしました。

それから時を待たず、N君から電話がありました。
この前のお礼がいいたいと私の事務所に寄ったN君と私は、しばらくぶりに尽きぬ話に花を咲かせました。
お父さんの思い出、お互いの近況、そんな事を語り合いながら、彼が今、製菓会社の営業頭をやっている事を知らされました。
そんな中で出てきたのがこの「酒ようかん」のアイディアです。

自分が幼い頃から慣れ親しんだ和田龍酒造の酒を使って「酒ようかん」を完成させたい、そう語ってくれたN君は、それ以降も頻繁に事務所に顔を出しては、進捗状況を教えてくれました。
そしてこれもひとつの縁で、たまたまふたりが共通して知る印刷会社の社長が装丁デザインやPOPを手掛けてくれ、そしてこの春、ついにその「酒ようかん 真田太平記」は完成しました。

試作品を持ち込んでくれた彼の前で早速みんなで試食したこのようかんは、酒の香ばしさがしっかりと感じられ、決して甘すぎず、絶妙なバランスの味わいで、辛党の私が思わず「うまい!」と叫んでしまった、贔屓目抜きで本当においしいようかんでした。
ここまで頑張ってくれた彼の思いに感謝しながら、弊社の店先でも早速その日から、この酒ようかんを置き始めております。

そんな訳で、この「酒ようかん 真田太平記」は、今は亡きKさんとそしてご子息のN君との思いが結実した、和田龍酒造にとっても大切な一品なのです。

ちなみにそのN君が店長を勤める関連商品のHP「信州上田 真田軍団」が開設されました。
もしよろしれば立ち寄ってみてください。

http://www.sanadagundan.com/

真田太平記 酒ようかん 1個420円

長野の酒メッセin東京2010

2010.05.23

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写真:会場30分前の場内


去る5月19日、今年で7回目となる「長野の酒メッセ in 東京2010」がグランドプリンスホテル赤坂で開催されました。
長野県内から約60の蔵が出展し、各々のブースで自慢のお酒の数々がお客様に振る舞われました。

そして弊社は実は今年が初参加。
これまでにも東京のお客様からは、何で和田龍酒造は出展しないのかとお声掛け頂いていた事がたびたびだったのですが、今年出展に踏み切るきっかけとなったのは、ひとえに新酒の出来栄えが素晴らしかったから。
特に今年で発売から5年目を迎える「登水(とすい)」は、「吟醸酒」「純米酒」どちらも私が求める方向性として納得できるお酒が出来上がってきたので、ぜひ多くの皆様のご意見を聞いてみたいと、大海へ飛び込む思いで出展を決めたのでした。

そんな訳で、今回出品したのは「登水・吟醸酒」と「登水・純米酒」の、あえて2種類だけ。
少数精鋭のラインナップで皆様の忌憚のないご意見を頂くべく、緊張の思いで当日を迎えました。

午後1時会場。
最初は暇で手持無沙汰だった弊社のブースにも、しばらくするとちらほらとお客様がお見えになるようになり、少しでも自分の思いを伝えようと説明を繰り返しているうちにお客様の数はどんどん膨れ上がり、私と妻のふたりでは応対が間に合わないほどの慌しさとなりました。
でも忙しさにかまけてお客様のグラスにただお酒を注ぎ、飲んで頂いてさようなら、それでは何の意味もないと思い、すべての皆様と少しでもお話ししようと自分なりに精一杯お声掛けして、私の説明を聞いて頂きました。

嬉しかったことがたくさんあります。

まず、たくさんの方から名刺を頂いたこと。
正直申しまして、何せ初めての出展であまり自信がないものですから、お客様から望まれた時だけ名刺をお渡ししようと密かに思って会に臨んだのですが、蓋を開ければ多くの皆様が名刺交換をして下さり、その一枚一枚がこの日の私の大きな財産となりました。
今でもその名刺を眺めると、そのお客様と話した一瞬一瞬が鮮明に蘇って参ります。

ふたつめ。
我々のブースを2度3度と繰り返し訪れて下さったお客様がたくさんいらした事。
一度お話ししたお客様がしばらくしてまた戻って来られた時というのは、少しでも弊社のお酒を気に入って下さったかあるいは関心を持って下さった証拠と勝手にひとりごち、それをその都度心の励みにしておりました。
同じお客様と何度もお話ししているとだんだん気心も知れてきて、ついプライベートな話題にまで及んで花が咲くという楽しさも味わうことができました。

みっつめ。
知っている方は誰も見えないだろうという事前の予想に反して、驚くほど多くの顔見知りの皆様がお越し下さったこと。
中には、日頃東京でお世話になっている飲食店の常連のお客様で、私はよく存知上げている反面、先方は私のことは知らないだろうと思っていた皆様が名指しで次々に来られて、感激する場面もしばしばでした。
自分は多くの方々に支えられていると思った一瞬でもありました。

夕方から会は一層賑わいを増し、続々と来場されるお客様との会話で息を付く間もないほどの忙しさです。
でも楽しさが先行して、まったく疲れを感じないんですね。
そして午後8時、場内に「蛍の光」が流れてきて終了の時間が来たことを知りました。
本当に充実してあっという間の7時間でした。

この日最後のお客様となった、やはり今日何回も弊社のブースを訪ねて下さった若い女性を名残り惜しみながらお見送りして、私にとっての初めての「長野の酒メッセ in 東京」が無事お開きとなりました。

念のためかなり多めに持っていったお酒も、数えてみれば1本を残すだけ。
その空ビンを片付けながら、充実感に溢れた今日1日の余韻に浸ったのでした。

この日和田龍酒造のブースを訪れて下さった皆様、改めまして心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

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