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舌の訓練

2008.03.26

日本酒の利き酒も含めて、お酒の味覚の個人差は天性のものと思われますか?あるいは訓練によって鍛えられるものと思いますか?
諸説あるかと思いますが、私は個人的には訓練だと思っています。

今から15年以上前、当時東京都北区滝野川にあった「国税庁醸造試験所」(現在は東広島市に移転し「酒類総合研究所」)に季節講習生としてひと冬入所しました。
その中の「官能検査」という講習の中で、利き酒の「いろは」を繰り返し教わりました。
どんな内容だったか、思い出すままに列挙してみます。

・二組ペアになった水の入ったグラスがあり、そのどちらかにほんの微量の、例えばその日のテーマによってブドウ糖やクエン酸や塩などが入っている。ひと組だけならばどちらに入っているかすぐに分かるが、それが36組並べられており、ほぼ完璧に当たるまで繰り返す。

・マッチング法。数種類のお酒が入ったグラスが2組、組み合わせを変えて並べられており、それぞれの組から同じお酒を結んで一致させる。

・アルコール度数が微妙に変えられたお酒がランダムに並んでおり、それをアルコール度数が高い順番に並べ替える。
 同じことが日本酒度、酸度などでも行なわれた。

・老(ひね)香・ツワリ香・ゴム臭など、お酒に関する「異臭」を実際に嗅いで、それがどれに当たるかを当てる。

・日本酒に限らず、ワイン・ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュールがずらりと並べられ、それぞれの味わいと個性を覚える。

以上、思い出すだけでこんな感じです。

もちろんこれは専門的な講習ですので、普通はここまでは出来ません。
ただ普段から、「意識をして味わうこと」そして「2種類以上のお酒を並べて比較すること」、これだけで随分と味覚は鍛えられると私は思っています。
ふたつのお酒を並べて飲んで、それぞれのお酒について思ったことを、頭の中で構わないので言葉で表現してみる、それが上達の早道のような気がしています。