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深夜のバスマット

2013.06.27

先日東京出張の折、品川のグランドプリンスホテル高輪に泊まりました。
ここ数年サービスの上昇著しい大好きなホテルのひとつです。

夜は親しいお店でしこたま飲んで、ホテルに戻ってきたのは深夜12時過ぎ。
そのままシャワーを浴びて、さて上がろうかという時にふと目に留まったのが足元のバスマット。
未使用なのに、クリーニングしても落ちなかったのでしょう、大きなシミが広範囲に付いています。

いくらクリーニング済みとはいえそこには足を乗せる気にならず、仕方なくタオルで足を拭いて、ちょっと悩んだ末にルーム係に電話をしました。
悩んだというのは、翌朝は早々にチェックアウトするため、ここでバスマットを交換してもらっても結局は使わないかもしれないし、ならば黙っていても良いのではという思いが働いたからです。

でも、近年のこのホテルの優れたホスピタリティに甘えて、あえて電話をし事情を話したところ、すぐに係の男性が交換に訪れてくれました。

驚いたのは翌朝のチェックアウトの時です。
カウンターに向かいフロントの女性とあいさつを交わした時、うしろから声を掛けられたのは馴染みのマネージャーでした。
彼はまっすぐに私の目を見て、「昨夜はバスマットの件で失礼があって申し訳ありませんでした」と真っ先にお詫びを述べました。

その言葉に感激したのももちろんですが、数時間前の深夜の出来事がしっかりとフロントにまで伝わっていたその姿勢に心打たれました。
しかも彼は前々回宿泊した時の小さなミスにも触れ、「重ね重ね本当に申し訳ございません」と再度深々と頭を下げてくれたのです。

思わず私は「今回のバスマットの件は仕方がない事ですし、大切なのはそのミスをどうフォローされるかだと思いますので、今回のご対応は大変感動致しました」と伝えました。

その後もチェックアウトが終わるまでマネージャーは後ろで待機していて、最後まで私を見送って下さいました。
私もいつも以上の思いを込めて「またお伺いします」と声を掛けホテルをあとにした、心地よい朝のひとときでした。