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アルコール発酵の原理

2012.02.25

ファイル 267-1.jpg

写真は本日の「登水(とすい)美山錦」仕込み2日目のもろみの状貌(「ツラ」ともいいます)です。

まだ溶け切っていないお米の中で、泡がプクプクと立っているのが分かりますか?
これはアルコール発酵がしっかりと始まった証拠です。

今、このタンクの中では「糖化」と「発酵」というふたつの変化が同時に起こっています。

①糖化:お米のデンプン→<麹菌が作った酵素が分解>→ブドウ糖

②発酵:ブドウ糖→<酵母が分解>→アルコール・炭酸ガス

つまり写真の泡は、アルコール発酵により、酵母がブドウ糖をアルコールと炭酸ガスに分解した、その炭酸ガスの泡なのです。

このように、「糖化」と「発酵」が同時に行われる形式を「並行複発酵」と呼び、これは日本酒製造の大きな特徴のひとつです。

同じ醸造酒でも、ワインは原料のブドウに最初から糖分が含まれていますので「糖化」は必要なく「発酵」のみが行われます(「単発酵」と呼びます)。
またビールは原料は麦ですので日本酒と同じく「糖化」と「発酵」の両方が行われますが、違うのは「糖化」が終了したあとに「発酵」をさせるという2段階を踏むことです(「単行複発酵」と呼びます)。

写真のもろみもこれから30日以上にわたって厳しい温度管理のもとで、おいしいお酒になるための「糖化」と「発酵」とがバランスよく進行していくのです。