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PRISM

2010.04.18

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PRISMというフュージョンバンドがいます。
1975年に結成された、ギター・ベース・ドラムスの3ピース構成の、日本で最初のフュージョンバンドです。

そのPRISMのギタリスト、和田アキラ氏を知ったのは今から15年前。
私が大好きなフュージョンバンド「RX」のサポートを努めていたのが和田アキラ氏で、聴いた瞬間、日本早弾き三大ギタリストにも数えられるその卓越したギターテクニックの虜になったのでした。

そして時は経て昨年末。
日頃からお世話になっている上田市内のライブハウスのオーナーから電話があり「明日ライブに来ない?和田アキラっていう人が来るんだけれどさ」。
えっ、和田アキラ?
何で今ここでその名前が?
考えるまでもなく「行きます行きます!」と二つ返事をしておりました。

そして翌日のライブ。
たったひとりでギターをかき鳴らす和田アキラさんの姿を見て、15年前の感動が蘇ってきて、改めてそのカッコよさに釘付け。
興奮覚めやらぬ中、ライブ終了後はオーナーのご好意で打ち上げに参加させて頂きました。
まずは和田アキラを知るきっかけになった、擦り切れるほどに聴き込んだCDにサインをもらいご満悦。
そして話をしながら、いつの間にか2月に長野市で開かれるPRISMのライブに足を運ぶ固い約束をしておりました。

翌日から、遅れ馳せながら初めて買ったPRISMのCD、最新アルバムの「INVITE」を運転中に数え切れないほど聴き込んで、そして迎えた長野市でのライブ。
いざ会場に着いてみると、キャパ50人ほどの狭い店内は立錐の余地もないほどの超満員、私は最前列のわずかなスペースをようやく見つけ、息もつけないような酸欠状態の中でライブは始まりました。

ギターの和田アキラに加え、小田和正や中島みゆきのバックバンドを努めてきたドラムの木村万作、そして昨年まで長年高橋真梨子のバックでプレーしてきたベースの岡田治郎、この3名で繰り出す音楽は、それはそれはパワフルかつテクニカルで、2時間半に渡るライブが終了した時はPRISMサウンドの虜となっていました。

そして迎えた4月10日、この半年に渡るPRISMのツアーのトリを飾ったのは他でもない、オーナーのリクエストで急遽決まった、先程も書いた上田のライブハウスでした。

当日、朝から慌しく仕事を片付け、何とか時間内に着くことが出来た店内は、落ち着いた雰囲気で皆がテーブルでドリンクを傾けています。
私と妻も2列目のテーブルに席を取り、ゆっくりビールを飲みながら待つ事しばし、場内が暗転してメンバーが登場し演奏が始まりました。

うん、やっぱりカッコいい。
しかも3人とも鳥肌が立つようなテクニック。
すっかり曲目を覚えた上で臨んだ今回のライブは、前回の長野とは演奏リストも多少変更があったり、あるいは同じ曲でも各々のプレーが微妙に変わっていることが分かったりで、感動も倍増。
私はと言えば、いつの間にか曲の終わりや各自のソロのあとには歓声を上げていて、ついには2回のアンコールでは「ブラボー!」を連呼する始末でした。

そしてその感激覚めやらぬまま、今回もそのまま居残って参加させて頂いた打ち上げ。
楽しい時間は際限がありません。
でも頃合いを見計らって、そろそろおいとまを告げた時、隣にいた和田アキラさんが私のポケットにそっと何かを差し入れてくれました。
何だろうと思って取り出した瞬間、アキラさんがひとこと、「ライブで使っていたピックだよ」。
その瞬間、私の興奮と感激はMAXに達したのでした。

15年という時間を経て、和田アキラ、ひいてはPRISMとの新たな邂逅が始まった瞬間でした。