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春から初夏の旬

2009.05.14

春から初夏にかけての今の時期、旬の食材があちこちで出回るようになって、酒飲みには(もちろんそうでない方にも)たまらない季節がやってまいりました。

まず届くのは山菜の数々。
こしあぶら・こごみ・わらび・ぜんまいといった季節を感じる山菜の数々を皆様から頂戴します(本当は自分でも採りに行けばいいのですけどね、甲斐性なしの自分です)。
これを天ぷらやおひたしにして、独特の苦味や旨味を楽しみながらわしわし食べると、お酒の進むこと進むこと。
山国信州に住んでいる者にとっては欠かす事のできない旬の一品です。

そして同じ野菜からもうひとつ、アスパラガス。
同じアスパラでも特に私の大好物はホワイトアスパラ。
フレンチやイタリアンの春のメニューにこれが載り始めると居ても立ってもいられなくなってしまいます。
ちょっと贅沢をしてレストランへ出掛け、空輸されたフレッシュのホワイトアスパラにざっくりとナイフを入れた瞬間の嬉しさといったら。
以前、テレビの人気番組「料理の鉄人」にも三度出演した「レストランヴァンサン」の城悦男シェフに、坂井シェフとのワイン対決の際に登場した「ホワイトアスパラガスとオマール海老のコルトンシャルルマーニュソース」を再現して頂いたら、そのおいしい事!
「土の香り」で共通するアスパラガスとコルトンシャルルマーニュのソースのマリアージュの素晴らしさに陶然としてしまいました。

続いての旬の食材、岩ガキ。
このところ立て続けに2軒のお店で、メニューに天然の岩ガキの文字を見つけ、迷わず注文。
でも初夏から真夏が旬のこの岩ガキ、今年は少し早くないですか?と聞いたところ、どちらのお店からも「そうなんですよね」という答えが帰って参りました。
普通のカキよりもはるかに大ぶりでプリプリと、見るからにおいしそうなこの岩ガキ。
1軒目の居酒屋ではオーソドックスにポン酢で、そして2軒目のレストランバーでは大きな身をざっくり半分に切って、半身は何も付けずにそのまま、もう半身はこのお店オリジナルのエスニックソースで頂きました。
どちらも海のとろけるような旨味が凝縮して口の中に溢れ、普段の真ガキとはまたひと味違った濃厚な味わいを堪能致しました。

そしてもうひとつ、コハダの新子。
先日、私がよく行く居酒屋のご主人から「今日素晴らしい新子が入ったからよかったらおいで」とお電話を頂き、仕事が一段落したところでお店へ直行しました。
ご主人がおっしゃるには、今日〆たばかりだからまだかなり酢が立っていると思うのでその状態がお好きな方は今日、もう少ししっかりと酢が馴染んだほうがお好きな方は明日以降をお勧めしています、とおっしゃっていました。
最初は新子をそのまま注文、今日〆たばかりというその新子は歯ごたえもさっくり、まだ生の状態が残っているので風味も豊かで、夏でも熱燗あるいはぬる燗が大好きな私としてはそれだけでお銚子が何本も空いてしまいました。
ただ、酢が立っている分やっぱり握りで味わいたい、そうご主人に伝えると、そうだよね、自分もそう思うよと言って早速出して頂いた新子の握りは、新子のキレの良さと酢飯の柔らかさとがあいまって口の中で解け合い、その調和に思わず「うまい!」と叫んでしまうひと品でした。