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今年はお休み

2008.08.08

例年この時期に岩手県花巻市で1週間にわたって開催される「南部杜氏協会夏季酒造講習会」。
毎年参加していたのですが、今年は日程が一週間遅れて月末月初にまたがってしまったため、残念ながら出席できませんでした。
そんなわけで今年は無念のリタイアだったのですが、昨年までの経験から、この講習会の様子だけでもお伝えしたいと思います。

会場は「石鳥谷生涯学習会館」という3階建ての大きな公民館です。
旧石鳥谷(いしどりや)町は数年前の広域合併で花巻市となりましたが、この石鳥谷はまさに南部杜氏の里で、この会館のすぐ横に「南部杜氏協会」の本部があります。

講習は「特科」「研究科」「杜氏科」の3クラスに分かれていて、初年度の講習生はまず「特科」を受講します。
3日間にわたって酒造の基礎をみっちり学んだあと、最後に試験が実施されます。
この試験に合格して初めて、翌年から1クラス上の「研究科」に進む事が許されます。

さて、その「研究科」、私も現在このクラスに所属しているのですが、この「研究科」には何年でも在籍することができます。
講師として、各国税局の鑑定官をはじめとして酒造の分野でトップを走る先生方をお招きし、毎年刻々と変化する酒造の最新知識と情報とを学んでいきます。
「酒造全般」「酒造米」「麹」「酵母」「品質管理」「分析」「酒税法」・・・その内容は常に新鮮で、内容も毎年変わるので、何年受講しても飽きる事がないのです。
講師の先生の迫力ある「生」の解説、そしてパソコンからスクリーンに次々に映し出される画像の数々、それらをひとつたりとも聞き逃がさず見逃すまいと、会場内は常に緊張感に満ちています。

そして「研究科」の上に、酒造の頂点を目指す「杜氏科」があります。
私は受講したことがないので詳しい講習の内容は分かりませんが、教室は例年少数精鋭で、そこで試験に合格した人が晴れて「南部杜氏協会」より「杜氏」として認定されます。
試験の内容は、酒造の専門的な知識に留まらず、酒造り集団のトップとしてのリーダーシップのあり方、さらにはこれまでの酒造の経歴までが加点対象としてチェックされた上で合否の判定が下されます。
毎年張り出される合格者名簿を見ると「杜氏」となれるのは10名前後の厳しい門です。

そのような講習会の場に、学びの場を求めて、全国からたくさんの蔵元関係者が集まってきます。
講習会で学ぶ内容はもちろんですが、そんな場に身を置くことそれ自体が大きな刺激となって、明日への大きな活力をたくさんもらってくるのです。