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加賀屋のホッピー

2023.03.09

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写真は「加賀屋」ホームページより


先日、「日本酒以外でよく飲むお酒は何ですか?」という質問を受けました。

その時、すぐに思い浮かんだのはホッピー。
ホッピーそのものは清涼飲料なので、正確には「焼酎のホッピー割り」ですが、まさに青春の味です。

学生時代、親友のFと通い続けたのは、東京は大田区蒲田の「加賀屋」でした。
今でいう「せんべろ」居酒屋です。

なけなしのお金を握り締め、蒲田駅東口の派手派手しい繁華街の入口を少し進んでお店の暖簾をくぐると、そこは「加賀屋」ワールドの始まりでした。

Fとふたりで店の片隅のテーブルに陣取って、頼むのは決まって「加賀屋」名物の煮込み、うなぎかぶとの串、そしてホッピーでした。

当時ホッピーは今のような人気商品ではなく、お金が無い人でも飲めるアルコールの最終手段、そんな位置付けでした。

ジョッキに半分ほど注がれた甲類焼酎と、マドラーが刺さったまま瓶ごと運ばれてくるホッピー。

ホッピー1本でジョッキ2杯分飲める焼酎のお代わりを、今では当たり前になった「中(なか)」と呼ぶことを知ったのも、このお店でした。

一緒に連れてきた後輩が我々の真似をして、いっぱしの常連ぶって「なか、ひとつ!」とか叫んでいるのを見ると、「知ったかぶりしてんじゃねーよ!」と、Fと一緒に叱りつけたものでした(笑)。

4人掛けのテーブルで2人で飲んでいて、4人連れのお客様が来た時に、顔馴染みの女将に請われてカウンターに席を移すと、そっとサービスの一皿が出てくる、そんな温かいお店でした。

お会計はひとり2,000円。

懐に少し余裕があると「レバ刺し」や「ハツ刺し」を頼むのがちょっとした贅沢でした。
美味かったなあ。

このお店はチェーン店で、ホームページを見ると「蒲田店」はもう既に無くなっているようですが、大宮駅西口前の「大宮店」は今でもたま~にFや当時の仲間たちと足を運びます。

知名度も売上高も今や大躍進を遂げたホッピー。
白ホッピーと黒ホッピーが代表格ですが、どちらか選べと言われたら、私は迷うことなく当時からある「白ホッピー」を選びます。

煮込みやモツ焼きと一緒に頬張るホッピー。
飲むたびに学生時代のあの頃に戻った気がしています。