記事一覧

「パリのワイン食堂」

2012.06.14

ファイル 285-1.jpg

写真:マールとフロマージュ(エポワスとコンテ)


東京へ出張した日の夜、親しい仲間と馴染みの日本酒専門店でたらふく飲んで食べたあと、ホテルに戻ろうと思ってふと思い出しました。
数日前、地元上田のお得意先の社員の方と話していた時、その方のお嬢様が東京のビストロに勤めているので、よかったら行ってみて下さいとお店の名刺を渡されたのでした。

時刻はまだ午後10時過ぎ。
思い立つやいなやホテルへ戻る向きをくるっと変えて、そのお店に向かいました。

場所は東銀座。
旧歌舞伎座の真裏に位置する「パリのワイン食堂」がそのお店です。
もう深夜も近いというのに、カジュアルでシャレた店内はたくさんのお客様で賑わっています。
ひとりで飲んでいる客は皆無、でもそこはひとりで焼肉もフレンチも平気な私のこと、躊躇なく店内に足を踏み入れ、入口に一番近いテーブルに腰を落ち着けました。

女性スタッフが持ってきてくれたメニューを見て、食事、ワイン、それぞれの種類の豊富さと安さとにまずは驚きました。
最初のお店でお腹はすでにいっぱいなので、白ワインの「ムルソー」をグラスで、そして大好物の「ホワイトアスパラ」を頼み、近くにいたフランス人(!)男性スタッフにそのお嬢様の苗字を伝えて、席まで来てもらえるよう頼みました。

しばらくして私のテーブルに来た彼女が、知らないオジサンを見てキョトンとしていたのは無理はありません。
すぐに私は、上田でお父様に仕事でお世話になっている事、お父様とは仕事以外にもいろいろお話しさせて頂いている事、そしてお父様からここを紹介されて今日訪ねた事を伝えました。
すぐに彼女に笑顔が戻りしばし歓談、お父様の話題も交えて話に花が咲きました。

そして締めの一杯はマールで。
造り手はブルゴーニュの名門、ジョルジュ・リニエを選びました(たしか一杯800円。安いですよね)。
そこにフロマージュを運んできてくれた彼女と再び会話が弾み、最後は彼女に見送られてお店をあとにしました。

翌日早速お父様に電話をしたところ、早々に私がお店を訪問したことを驚きとともに喜んで下さり、思い切って行ってよかったと改めてしみじみと感じ入ったのでした。

「バリのワイン食堂」、カップルで、ファミリーで、仲間同士で、あるいは滅多にいないとは思いますが私のようにたったひとりで、お勧めの一軒がまた増えました。