記事一覧

三遊亭鬼丸、上田凱旋

2010.11.25

このブログにもたびたび登場する上田出身の新真打、三遊亭鬼丸(きん歌改め)。
東京都内で50日にわたる真打披露興行を終え、このたび地元上田市のホールで凱旋公演を行いました。

http://www1.ocn.ne.jp/~kinka/profile.html

ちなみに東京での襲名披露興行には、私も出張に合わせて2度足を運びました。

1回目は上野鈴本演芸場で、この日が披露初日でした。
ネタは「錦の袈裟」。

初日という事もあってか、鬼丸は自分自身の立ち位置に少々戸惑っている様子で、何となく不完全燃焼に終わってしまった感のある高座でした。
余談ですが、私の左隣に落語通で知られる堀井憲一郎氏がメモを片手に座っていて、彼が鬼丸をどう評したのかも気になりました。

2回目の訪問はそれから1ヵ月後の池袋演芸場で、この日のネタは「御神酒(おみき)徳利」。
これは見事でした。
鬼丸の成長がしっかりと窺えました。
快活かつ朗々と噺す鬼丸のうしろに、確かに「御神酒徳利」の風景や人物が見えました。

そして今回の上田公演。
約500席の場内はびっしり満員で、鬼丸に寄せる期待の大きさが分かります。
入口では鬼丸のご両親や奥様がお客様をお出迎えしています。

そして開演。
師匠の円歌や兄弟子たちの高座が爆笑に包まれ、そして襲名披露の口上も無事終わり、いよいよ大トリで鬼丸の登場です。
ネタは「猿後家」。

裕福な商家の後家(未亡人)さんのたったひとつの悩み、それは顔が猿そっくりな事で、それゆえに「猿」に関する言葉は一切禁句。
このたびもうっかり植木屋が「サルスベリ」と言ってしまったばかりに出入り禁止となり、当の後家さんはショックで寝込む始末。
さあ、そこへ現れたのが雄弁で知られた源さん、番頭さんから頼まれて彼女の機嫌を直すべく乗り込むが・・・。

鬼丸迫真の、素晴らしい高座でした!
古典落語の面白さが鬼丸の語り口で更に増幅され、落語という芸の醍醐味を堪能致しました。

このあと埼玉でのもうひと公演をもって、長いようで短かった鬼丸の真打披露公演も一段落です。

さあ鬼丸師匠、いよいよこれからがスタートです。
これから先、鬼丸ならではの芸風をさらに確立するために、そしてひとりでも多くのファンを獲得するために、突っ走って下さい!